出版社内容情報
江戸時代後期を代表する文人・頼山陽。
『日本外史』の著者というイメージが強いが、「煎茶」を楽しむ風雅の心も持ち合わせていた。
山陽の愛した煎茶がいかなるものであったのかを、漢詩文や書画、建築といった芸術作品の分析を通じて解き明かす。
煎茶と言えば、江戸時代後期の文人たちにとって欠かすことのできない趣味。
本書ではそんな煎茶文化にスポットライトを当て、山陽だけでなく上田秋成や田能村竹田なども取り上げながら、文人たちの煎茶の楽しみ方を紹介する。
せわしない日常のなかに暇を見つけて、煎茶を淹れ、親しい者とともに喫する。
そのような失われつつある喫茶の素朴な楽しみを、山陽まで遡ることで見つめ直すことのできる一冊だ。
【目 次】
はしがき
序章
一 頼山陽の生涯と事業
二 煎茶文化の歴史
三 先行研究について
四 本書の構成
第一章 歴史のなかの茶の湯
一 上田秋成における茶の湯と煎茶
二 山陽による批判
三 「煎茶歌」について
四 耽溺と驕奢
第二章 物外に心を游ばせる
一 小野桐陰と「桐陰茶寮記」の成立について
二 「桐陰茶寮記」の内容
三 山陽のなかの売茶翁
第三章 声を聴き、声を詠む
一 詩材としての声
二 「茶声」について
三 さまざまに表現される「茶声」
第四章 友とともに、酒とともに
一 文政一年の九州遊歴
二 その後の交遊において
第五章 風景のなかの歴史
一 煎茶室としての「山紫水明処」
二 山陽の風景観
補論一 煎茶は自ら娯しむもの -- 田能村竹田と青木木米の煎茶観について
一 己れの為にすることと養生
二 「自娯」としての煎茶?
三 「自娯」としての煎茶?
四 煎茶の法と煎茶具について
補論二 胸中の「磊?」を写す --山陽の山水画観再考
一 山陽の山水画とその特徴
二 粉本としての「磊?」
三 画業の意味
終章
参考文献
巻末資料
あとがき
内容説明
近世後期の文人たちが煎茶をいかに嗜んでいたのか、あるいは煎茶を介してどのような交遊を行っていたのか、その様子を山陽の作品分析をもとに描き出す。
目次
第1章 歴史のなかの茶の湯
第2章 物外に心を游ばせる
第3章 声を聴き、声を詠む
第4章 友とともに、酒とともに
第5章 風景のなかの歴史
補論1 煎茶は自ら娯しむもの―田能村竹田と青木木米の煎茶観について
補論2 胸中の「磊〓」を写す―山陽の山水画観再考
著者等紹介
島村幸忠[シマムラユキタダ]
煎茶家。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。専門は美学および日本文化論。現在、早稲田大学、京都芸術大学、岡山大学、桜美林大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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