出版社内容情報
日本の代表的歌人の秀歌を堪能するアンソロジー「コレクション歌人選」(4期・全20冊)生涯歌い続けた長崎原爆への怒り。「死者の生を生きる」を歌い続けた原爆歌人、竹山広が初めて読み解かれる。
島内 景二[シマウチ ケイジ]
著・文・その他
内容説明
「死者の生を生きる」を歌い続けた原爆歌人、竹山広が初めて読み解かれる。
目次
千々石ミゲルその名捨て去りたるのちの痕跡ことごとく滅びたり
停りたるものと思ひしトラックが後退りきてわれはおどろく
身を薙ぎて一瞬過ぎし光あり叫ばむとしてうち倒れゐき
なにものの重みつくばひし背にささへ塞がれし息必死に吸ひぬ
這伏の四肢ひらき打つ裸身あり踏みまたがむとすれば喚きつ
傷軽きを頼られてこころ慄ふのみ松山燃ゆ山里燃ゆ浦上天主堂燃ゆ
パンツ一枚着しのみの兄よ炎天に火立ちひびきて燃え給ふなり
水のへに到り得し手をうち重ねいづれが先に死にし母と子
ふり返らざる神父にてその耳にわれの懴悔の罪もちて去る
夜に思ふこと愚かにて絶命ののちいつまでも垂りし鶏の血〔ほか〕
著者等紹介
島内景二[シマウチケイジ]
1955年長崎県生。東京大学文学部卒業、東京大学大学院修了。博士(文学)。現在電気通信大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハルト
7
読了:◎ 昭和二十年八月九日午前十一時二分。長崎原爆投下の日。被爆者となった彼は、その日から新たな「竹山広」となったのかもしれない。憤怒、苦悩、鎮魂とを、生涯詠いながら、世界悪へと立ち向かう。短歌をもって。詠んでいると静電気のようにピリピリとした底知れない怒りを感じる。そして歯を食いしばった祈りのようでもある。唯一の核被爆国でありながら、「核の傘」によって欺瞞的に守られている日本。竹山にとってこの状況にはどんな気持ちでいただろうか。今、もっと省みられていい歌人だと思う。2020/10/29
あや
3
敗戦忌に読了。多くの原爆文学を知った気になっていたけれど竹山宏さんの存在は敬愛する歌人の方に教わるまで知りませんでした。核により保たれた平和の欺瞞を暴く歌人。全歌集も所持しているけれど、読みこなすにはまだ時間がかかりそう。2020/08/15
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