内容説明
明治後期より録音された東京と大阪の落語SPレコードを材料に、言語表現に関してさまざまな角度から分析を進める。落語資料についての丁寧な紹介・解説から始まり、その言語学的性格に迫る諸論考を配置。今後の研究指標となる日本語史諸分野の成果を収める。
目次
なぜ落語資料なのか―序に代えて
1 「解説」録音資料としての落語(最初期日本語録音資料史の素描―録音再生装置の開発から出張録音時代まで;SP盤落語レコードとその文字化について)
2 言語資料としての落語(各種録音資料に見る、方向・場所を表す「へ」格と「に」格;近世江戸語における指定表現の否定形―近世上方語および近代東京語・京阪語との比較;SP盤落語レコード資料に用いられた語彙の「近代性」;東京落語と「標準語」;落語の「会話」と「地」の東西比較―接続辞使用傾向から見るスタイル;大阪落語SP盤文字化資料における「。」の加点状況―文のあり方を探る;文体面から見た偶然確定条件の諸相―落語SPレコード・『夢酔独言』・尾崎紅葉の言文一致体小説を中心に)
3 日本語史における落語(SP盤落語レコード資料における人の存在文;SP盤落語資料のダケ・バカリ;上方語と江戸語の準体の変化―2つの変化の相違点と共通点;不定の「やら」「ぞ」「か」の東西差と歴史的推移;近代落語資料における行為指示表現の東西差―上方・大阪と江戸・東京の指向性の異なり;近代落語資料における順接条件系の接続詞的用法について)
著者等紹介
金澤裕之[カナザワヒロユキ]
目白大学外国語学部教授、横浜国立大学名誉教授
矢島正浩[ヤジママサヒロ]
愛知教育大学教育学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。