内容説明
江戸以前の「知」、海外から流入してくる「知」―。明治期、活字メディアによる情報革命の中で、多様な「知」はさまざまに錯綜し、新たな言説は生み出されていくこととなった。その過程の総体を、山田美妙から明らかにしていく書。ある時代の言葉は、どのように運用、共有され、新たな文化として再編成されていくのか。目の前にあるテクストだけを精読しても読み取ることのできない領域が、言葉には張り巡らされている。山田美妙は言葉とどう格闘し、そこでは何が起こっていたのか。日本の“近代”の実態を炙り出す。
目次
序章 明治期の多様な「知」と日本の“近代”
第1章 美妙にとっての「詩」と「小説」―「知」と「情」との関わり(明治期の「詩」と「小説」―山田美妙の初期草稿;美妙にとっての「小説」―「蝴蝶」;『女学雑誌』の小説観―清水紫琴「こわれ指環」;「知」としてのゾライズム―「いちご姫」;江戸の「知」と西欧の「知」との融合―「武蔵野」)
第2章 言文一致再考―「文体」「文法」と「思想」の表現(「翻訳文」という文体―初期草稿から;美妙の“翻訳”―「骨は独逸肉は美妙/花の茨、茨の花」;美妙の「文法」;歴史と想像力―「笹りんだう」;言文一致論と「思想」の表現)
著者等紹介
大橋崇行[オオハシタカユキ]
1978年生。作家、国文学者。上智大学大学院修了(修士)後、総合研究大学院大学修了。博士(文学)。国文学研究資料館博士研究員、岐阜工業高等専門学校一般科目(人文)科助教を経て、現在、東海学園大学人文学部人文学科講師。全国大学国語国文学会平成25(2013)年度「文学・語学」賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。