萬葉写本学入門―上代文学研究法セミナー

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ A5判/ページ数 109p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784305708120
  • NDC分類 911.12
  • Cコード C0092

出版社内容情報

〈読む〉楽しみは、ここから始まる!



文学作品を読むためには、まず本文のあり方を知っておく必要があります。今、目の前にある萬葉集はどれだけ「原文」に近いのか遠いのか。どこまで解明され、何が課題となっているのか。

基本研究文献、萬葉集の伝本一覧、複製・画像、写本・刊本所蔵機関の情報も掲載。知っておくべき、知識と技術の基本を紹介します。



執筆は、小川靖彦/田中大士/城?陽子/新谷秀夫/景井詳雅/池原陽斉/新沢典子/樋口百合子/大石真由香/舟木勇治/李敬美/安井絢子/岩田芳子/小田芳寿/嘉村雅江/茂野智大



【…『萬葉集』に限らず、『古今和歌集』『源氏物語』『平家物語』『奥の細道』、さらには近現代の小説や詩など、文学作品は音楽作品に似ています。音楽作品は作曲家が創作したものですが、演奏されることで初めて姿を現します。演奏者の解読・解釈によって、同じ作品が全く異なる表情を見せます。“唯一の正しい作品”がどこかに抽象的に存在しているわけではないのです。それぞれの演奏が「作品」と言えます。しかし、それは演奏家による創作ではなく、あくまでも作者は作曲家です。

 文学作品も書写・出版されるたびに、解読・解釈されながら、新しい姿に生まれ変わってゆくものと考えられます。紙などの物質的な素材や装丁、文字・絵・図、さらにレイアウトとともに、文学作品の本文は、その都度新たに立ち現れるのです。しかし、それぞれの写本・刊本・近代的印刷本、今日ではさらにコンピュータ上のデジタル情報として現れた作品は、それぞれの製作者の創作ではないのです。それは、『萬葉集』ならば『萬葉集』の一つの姿であることに変わりないのです。】…「萬葉写本学への招待―文学作品における本文とは何か」より

萬葉写本学への招待―文学作品における本文とは何か(小川靖彦)

写本研究・本文研究の現在/文学作品の本文とは/上代文学会夏季セミナー「萬葉写本学入門」



? 実践!萬葉写本学



『校本萬葉集』の理念と方法(小川靖彦)

1 『校本萬葉集』の成立過程

国家的事業としての『校本萬葉集』/宮廷・文化界を挙げての支援/増補され続けた『校本萬葉集』

2 『校本萬葉集』の理念

調査結果の全面公開/「国民生活」を高めるために

3 『校本萬葉集』の方法

異文情報の階層的処理/〈文字観念〉の次元での校合

4 『校本萬葉集』が投げかける課題

『校本萬葉集』の問題点/これからの本文研究について



万葉集仙覚校訂本のはじまり―仙覚寛元本の復元に挑む(田中大士)

1 寛元本の姿は見えない

2 寛元本の底本

3 寛元本の訓の二本立て構造

4 寛元本はどんな姿だったのか

巻四・六四一/巻四・五三一/京大本代赭書き入れ/神宮文庫本



万葉集享受の歴史―写本から版本へ(城?陽子)

1 はじめに―写本から版本へ

2 テキストによって学ぶ

3 近世期の万葉集享受―テキストと注釈

テキスト/注釈

4 おわりに―「万葉集享受の歴史」にむけて







写本を実際に見てみよう(新谷秀夫)

1 『萬葉集』の三つのすがた

2 『萬葉集』写本を実際に見る意義



『万葉集』研究における「写本学」とは何か(景井詳雅)

1 はじめに

2 『校本萬葉集』

3 『万葉集』と写本

4 写本から見えてくるもの

5 「萬葉写本学」と受容研究

6 「萬葉写本学」とは



? 現在の研究状況はどうなっているのか



[本文校訂]『萬葉集』伝本と本文の問題―本文異同の実例から(池原陽斉)

古典本文研究のなかの『萬葉集』の位置/本文異同の実際/本文校訂の諸問題/今後の展望



[平安・仮名萬葉と本文研究]本文批評における仮名万葉の価値(新沢典子)

万葉集研究はじめの一歩―本文批評と訓みの確定/訓の重要性/訓みをどう決めるか/仮名書き例援用の限界/仮名万葉―『古今和歌六帖』について/仮名万葉の典拠について



[中世・歌書と萬葉集]中世名所歌集所収万葉歌の価値(樋口百合子)

多数の万葉歌を所収する中世私撰集/『歌枕名寄』所収万葉歌の概要/『名寄』所収万葉歌と仙覚との関係/『名寄』所収万葉歌の実態と価値



[近世・本文系統]禁裏御本書入本の系統関係再考―近世初期の書写活動(大石真由香)

陽明文庫所蔵「古活字本万葉集」書入の書誌的性格/当該「古活字本」の発見による系統関係の見直し/当該「古活字本」書入を調査する意義



コラム 書物、そして人に出会う旅(小川靖彦)

コラム “掘り出し物”を求めて(池原陽斉)



? 知っておくべき基本研究文献・伝本・基礎資料



基本研究文献紹介(景井詳雅・舟木勇治・李敬美・安井絢子・岩田芳子・小田芳寿・池原陽斉・嘉村雅江・大石真由香・小川靖彦・茂野智大)

伝本一覧―系統別時代順・全二十八本紹介(小川靖彦・池原陽斉)

基礎資料紹介―複製・画像、および写本・刊本所蔵機関についての情報(小川靖彦・池原陽斉)

小川 靖彦[オガワヤ スヒコ]
1961年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。青山学院大学教授。博士(文学)。著書に『萬葉学史の研究』(おうふう、上代文学会賞、全国大学国語国文学会賞受賞)、『万葉集 隠された歴史のメッセージ』(角川選書)『万葉集と日本人 読み継がれる千二百年の歴史』(角川選書、古代歴史文化賞受賞)など。

田中 大士[タナカ ヒロシ]
日本女子大学教授

城? 陽子[シロサキ ヨウコ]
國學院大學兼任講師

新谷 秀夫[シンタニ ヒデオ]
高岡市万葉歴史館学芸課長

景井 詳雅[カゲイ ヨシマサ]
洛星中学高等学校教諭

池原 陽斉[イケハラ ヨウサイ]
東洋大学非常勤講師

新沢 典子[シンザワ ノリコ]
鶴見大学准教授

樋口 百合子[ヒグチ ユリコ]
奈良女子大学古代学学術研究センター協力研究員

大石 真由香[オオイシ マユカ]
日本学術振興会特別研究員PD

舟木 勇治[フナキ ユウジ]
関東第一高等学校教諭

李 敬美[イ ギョンミ]
大阪府立大学客員研究員

安井 絢子[ヤスイ アヤコ]
日本女子大学大学院生

岩田 芳子[イワタ ヨシコ]
日本女子大学助教

小田 芳寿[オダ ヨシヒサ]
佛教大学非常勤講師

嘉村 雅江[カムラ マサエ]
青山学院大学大学院生

茂野 智大[シゲノ トモヒロ]
筑波大学大学院生

内容説明

“読む”楽しみはここから始まる!文学作品を読むためには、まず本文のあり方を知っておく必要があります。今、目の前にある萬葉集はどれだけ「原文」に近いのか遠いのか。どこまで解明され、何が課題となっているのか。基本研究文献、萬葉集の伝本一覧、複製・画像、写本・刊本所蔵機関の情報も掲載。知っておくべき、知識と技術の基本を紹介します。

目次

1 実践!萬葉写本学(『校本萬葉集』の理念と方法;万葉集仙覚校訂本のはじまり―仙覚寛元本の復元に挑む;万葉集享受の歴史―写本から版本へ;写本を実際に見てみよう;『万葉集』研究における「写本学」とは何か)
2 現在の研究状況はどうなっているのか(本文校訂 『萬葉集』伝本と本文の問題―本文異同の実例から;平安・仮名萬葉と本文研究 本文批評における仮名万葉の価値;中世・歌書と萬葉集 中世名所歌集所収万葉歌の価値;近世・本文系統 禁裏御本書入本の系統関係再考―近世初期の書写活動)
3 知っておくべき基本研究文献・伝本・基礎資料

著者等紹介

小川靖彦[オガワヤスヒコ]
1961年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。青山学院大学教授。博士(文学)。著書に『萬葉学史の研究』(おうふう、上代文学会賞、全国大学国語国文学会賞受賞)、『万葉集と日本人 読み継がれる千二百年の歴史』(角川選書、古代歴史文化賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

gorgeanalogue

2
風邪で読書数日中断。ちょっと難しいところもあるが、なかなかに面白かった。もう少し巨視的な視点の論文があと一本入っているといいと思う。巻末の文献案内が有用。2017/04/11

燈露

0
問題提議も多く、巻末の資料も充実しており、大変為になる一冊。2017/08/22

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/11019889
  • ご注意事項

最近チェックした商品