内容説明
世界記憶遺産『御堂関白記』をはじめ、近衞家の名宝10万件を伝える陽明文庫。奈良・平安初期から近代まで、あらゆる時代の資料を揃える文庫の全貌に迫り、貴重な書物の数々を読み解く。藤原氏嫡流として、常に朝廷の中枢にいた近衞家の史料から、どのような政治の動きがみえるのか。どれほどの素晴らしい芸術品が伝えられているのか。日本が世界に誇る宮廷文化の真髄を披露する。
目次
1 近衞家と文庫の歴史(陽明文庫の沿革―成り立ちといまのありよう;『摂関家旧記目録』の筆者は藤原忠実か―摂関家再興の象徴;禁裏文庫と近衞家―江戸・明治期の様相)
2 世界記憶遺産『御堂関白記』の世界(『御堂関白記』の魅力あれこれ;藤原道長『御堂関白記』が語る栄華の真実―三代の天皇を孫で独占するまで;『御堂関白記』と『枕草子』)
3 朝廷を支えた近衞家―歴代当主と家司たち(『兵範記』紙背文書やその他の断簡からの発見;南北朝時代の公武関係―『後深心院関白記』にみる足利義満の成長;織豊期の近衞家をめぐって―前久と信尹の武家的性格)
4 書跡・漢籍・古地図の貴重書をさぐる(近衞家の書跡―その価値と魅力;陽明文庫の漢籍―優品三十六点を厳選解説;「宮城図」をめぐって―九条家本・陽明文庫本・東山御文庫本への系譜)
5 陽明文庫の現在―未来へ向けて(公益財団法人陽明文庫の事業活動;「陽明文庫講座」実施記録;陽明文庫と学術創成研究―目録学研究の進展と古典学の再生のために)
著者等紹介
田島公[タジマイサオ]
東京大学史料編纂所教授。1958年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程中途退学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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