内容説明
西鶴を「わかる作品」として読み直すべく、その小説作法を解明し、どう読むべきか、どう読まれるべきかを問う。そのための本書の挑戦は、一つには、創作方法としての「饒舌な沈黙」の発見、二つには、短編集の仕組みの解明、最後に、ジャンルの越境という点により行う。短編なのに、一人の長い人生を追ったドキュメンタリーのように人物を描きだす西鶴のリアリティとはどこにあるのか。テキストのことばを読みながら、作品のいたるところにある仕掛けを掘りおこし、新しい読みの扉を次々に開いていく。
目次
第1部 作品形成法―表象と仕掛け(『好色一代男』の方法;『好色五人女』の方法;冒頭部の仕掛け)
第2部 語り紡ぐ仕組み(『西鶴諸国はなし』における伝承の活用;『懐硯』における語り紡ぐ仕組み;『新可笑記』巻一における反転の仕掛け)
第3部 “はなし”の広がり(“こころ”と“からだ”;西鶴が描く愛の変奏)
著者等紹介
平林香織[ヒラバヤシカオリ]
1959年宮城県に生まれる。1985年東北大学大学院文学研究科国文学専攻修士課程修了。1987年同博士課程科目修了。現在、長野県短期大学教授を経て岩手医科大学教養教育センター教授。博士(文学)・2014年2月(東北大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。