内容説明
読む楽しさを伝える、古典と歴史の読書案内。今や、抱腹絶倒の書評家として名をはせる著者の真骨頂!読売新聞掲載の書評をまとめ、古典教師のホンネを綴ったおもしろうてやがて悲しきエッセイも収録。書物と対話し、生への思索を深めてきた思考の軌跡がここに。
目次
1 書物の劇場(時代と人間;人間と文学;文学と文化;文化と時代)
2 古典教師の煩悶(試験の季節に;急所は何か?;阿倍仲麻呂;古代の神と天皇;教師について;学問の東西)
著者等紹介
上野誠[ウエノマコト]
1960年、福岡生まれ。国学院大学大学院文学研究科博士課程満期退学。博士(文学)。奈良大学文学部教授。国際日本文化研究センター客員教授。第12回日本民俗学会研究奨励賞、第15回上代文学会賞、第7回角川財団学芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Shoji
62
奈良大学の国文学の教授が書かれた読売新聞に掲載された書評集です。著者の講義、講演会は何度か拝聴しております。とてもユーモアのある話しぶりで、歴史のドラマや機微をわかりやすく解説して下さいます。その中には古典のエッセンスをちゃんと織り込んでおり、楽しくて明快です。そして、この本も分かりやすく明快。楽しく読ませていただきました。2017/09/22
あいくん
7
☆☆☆古典関係の読書案内です。「オレがマリオ」俵万智、「大学教授がガンになってわかったこと」山口仲美、「本当はひどかった昔の日本」大塚ひかり、は読んでいました。上野さんは国文学科の教授です。学生が「自分には古典を学ぶ必要性は感じられない。古典を学ぶ必要性を教えてほしい」と言いました。古典を読むことは過去と対話することです。古典との対話なしに生きることへの思索を深めることは難しいのではないかと上野さんは考えています。カルチャーセンターやテレビの古典講座は盛況です。古典を愛する人々が多数存在するのは確かです。2017/08/28
うえ
6
書評集がメインだが諸々の論考も興味深く、関東関西方法論の違いは面白い。「古代史の場合、関東の学者は、まず権力構造に深い関心を寄せ、それを法体系で観察しようとする…関西の学者は、あくまでも実態を重視し、史料に表れていることがらから、その時々の状況を明らかにしようと考える…私の選考する万葉学はどうかというと、関東の学者は文学史を重視して、常にその万葉歌の文学史上の位置づけをしようと考える。対して、関西の学者は、どう読めるかという訓詁注釈こそ学問の基本であって、文学史などあとからどうとでもいえる、と思っている」2023/02/22
槙
2
最近、「読みたい本」の登録をなるべく減らそうとしているのだが、その決意が鈍りそうなほど魅力的な筆致で読書欲をそそる本が紹介されており、私にとってはもはや目の毒。 著者の他の本「みんなの万葉集」や「万葉体感紀行」を読んだ時にも思ったがシンプルでわかりやすい文章と、ここについては語りたいと思ってる部分ににじみ出る情熱の熱量のバランスがちょうどよいなと感じる。 この本で紹介されている本を楽しもうと思えば、日本と中国の古典文学や歴史を知っておいた方がたぶん何倍もおもしろいはず。だから古典は必要です。2015/05/16
脳疣沼
1
題名に「!?」とついているように、反撃になっているのかどうか微妙である。しかも、内容のほとんどは単なる書評を集めたもので、こちらが期待した、古典の意義を説いた箇所は少ない。2015/08/10