内容説明
鍵となるのは中国の華夷秩序に影響を受けた蝦夷・琉球・異国をはじめとする外部への姿勢と、内部に存在する「和」「武」「神国」という異なる側面の共存。近代ナショナリズムへつながる思想も出現した、江戸時代を中心に、言説の全体像に迫る!
目次
1 「自国」を誰が/どの範囲で捉えるか?(「夷」の国の学問―漢学と国学;人びとにとっての近世日本のかたち ほか)
2 「和の国」イメージの普及(やわらかな好色の国・日本、という自己像;日本の春画・艶本にみる「和合」)
3 「武の国」―願望のゆくえ(近松の浄瑠璃に描かれた「武の国」日本;曲亭馬琴の「武国」意識と日本魂 ほか)
4 「神の国」―近代をつくった自国認識の登場(浄瑠璃にみる神道思想;平賀源内の自国意識 ほか)
著者等紹介
田中優子[タナカユウコ]
研究分野は日本近世文化、アジア比較文化。1952年神奈川県横浜市生まれ。法政大学社会学部教授。2014年法政大学総長に就任。1986年『江戸の想像力』(筑摩書房)で芸術選奨文部大臣新人賞、2000年『江戸百夢』(朝日新聞社のち筑摩書房)で芸術選奨文部科学大臣賞・サントリー学芸賞を受賞。2005年紫綬褒章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
24
菅原道真は日本人に大和魂があると述べた(018頁~)。石川流宣の流宣日本図と、自稾(じこう)庵日本図(028頁~)。琉球のおもろそうしの分析も見られる。また、寺島良庵著『和漢三才図会』1712年の江戸時代を代表する絵入り百科事典も出てくる(横山泰子教授086頁~)。怪物とは常に他者であり、異常な他者を意識することで人間は自分の人間らしさを確認する(095頁)。倭よりも和が武力を用いないで平和的に治めるという意味があるという(岸俊男1985年、102頁)。2015/06/17
とよぽん
17
法政大学の学長、田中優子さんを編者として、教授陣がそれぞれの専門を窓口にした江戸時代の研究から論考。日本人が自分の国をどのようにとらえ、イメージを作ってきたか? とても興味深く読んだ。そもそも、鎖国をしていた状態で、自国を意識するということができたのかな?という疑問から読み始めたのだけれど・・・。2018/02/26
MG
3
テーマは平易ですが、それぞれの文章は専門的かつ短文のため難解に感じました。2015/06/18
Hiroki Nishizumi
2
テーマは秀逸なのだが、データに基づく事実ではなく各々の研究対象からその関わりあいを抜き出しただけ、というところが少々中途半端な印象だった。2018/04/11
onepei
2
絵本や見世物、絵図、能などに現れる想像の日本という(自)意識。2015/04/16
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