内容説明
古典学万般の世界に幅広い知見を誇った当代最高の知識人として、応仁の乱後、文化再興に多大な功績を残した。連歌師宗祇は、実隆に古今伝授を授けており、後に御所伝授へとつながる。家集に『雪玉集』『再昌草』などがあり特に『雪玉集』は、近世の歌人の手本とされた。
目次
法の道に仕へんものを
暫しとも言伝てやらむ
己が上に生ふる例や
忘るなよ三笠の山を
秋風も心あるべき
枝ながら見むも幾ほど
吹くからに風の柵
深からぬ齢のほどに
年も経ば鏡の影に
年をへて宿にまづ咲く〔ほか〕
著者等紹介
豊田恵子[トヨダケイコ]
新潟県生。奈良女子大学大学院博士後期課程単位修得退学。現在、宮内庁書陵部図書課研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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山がち
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二条派からもある程度距離を置いて、凝った独自の歌を、あくまでも清新でなだらかな美しさを残しつつ詠んだ歌人であるということが、その解説や抜き出された歌からよくわかる。一人の歌人を魅力的に取り上げているというのが、為氏・為世の時と違ってよく感じられてとにかくいい本だった。やや趣向に凝りすぎるという悪い面や、古今伝授を受けた人間という立ち位置など、様々な面を見せつつそれを統合しているのだから、見事としか言えない。個人的には、「雪玉集」に入集している歌に関してはかなり興味を覚えたので、いずれ読んでみたいと思った。2013/12/29