出版社内容情報
うたの森に、ようこそ。
柿本人麻呂から寺山修司、塚本邦雄まで、日本の代表的歌人の秀歌そのものを、堪能できるように編んだ、初めてのアンソロジー、全六〇冊。「コレクション日本歌人選」の、紫式部です。
内容説明
明るく勝ち気で溌刺とした少女時代から、物思いの多くなった晩年までの歌を集めた歌集、『紫式部集』に焦点をあてる。『源氏物語』とは別の角度から紫式部の心に寄りそい、式部の人物・生活・思考を知る好資料であり、その感性のあり方を浮き彫りにする。
目次
めぐりあひて見しやそれとも
鳴きよわる籬の虫も
おぼつかなそれかあらぬか
あらし吹く遠山里の
北へ行く雁のつばさに
あひ見むと思ふ心は
三尾の海に網引く民の
知りぬらむ往き来にならす
ここにかく日野の杉むら
春なれど白嶺の深雪〔ほか〕
著者等紹介
植田恭代[ウエタヤスヨ]
東京都生。日本女子大学大学院単位修得。現在、跡見学園女子大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kaizen@名古屋de朝活読書会
61
#紫式部 #和歌 鳴きよわる籬の虫もとめがたき秋の別れや悲しかるらむ #返歌 籬虫つきにくいのはつげしらかし永遠の別れになるかならぬか 2016/01/24
しゅてふぁん
56
宮中の行事や祝宴で詠んだ歌以外は嘆きや悲しみを詠ったものが多い印象。紫式部は常に心の中に悲しみを抱えていたのかもしれない。そんな彼女にとって歌を詠むということは心の嘆きを吐き出すことだったのかな。彼女に対して快活なイメージは全くないのでさもありなんといったところ。恋の歌ももうちょっと浮ついたり華やかでも良いのではと思うくらいに落ち着いたものだった。同じ時代を生きた恋多き女、和泉式部とは随分と違うなぁ(笑)2021/11/14
はるわか
11
北へ行く雁のつばさにことづてよ雲の上がき書き絶えずして/ここにかく日野の杉むら埋む雪小塩の松に今日やまがへる/身の憂さは心のうちに慕ひきていま九重ぞ思ひ乱るる/み吉野は春のけしきに霞めども結ぼほれたる雪の下草2022/04/06
地中海
1
単体の、季節だけを読んだものにはそんなにだが、文脈の中で意図を持っているものとしてなら私も短歌に興味あるかも、と源氏物語を読んで思ったため読んだ。さっと読めたし、紫式部の生涯にも興味を持っていたので一石二鳥。2019/05/13