内容説明
その代表作を厳選して紹介。各歌には現代語訳をつける。振り仮名つきで読みやすい丁寧な解説つき。歌人略伝・略年譜を付し、生い立ち・歴史的背景がわかるようにした。より深く知るための読書案内付き。解説で、特色と、文学史的位置づけを行う。巻末に作家・評論家・研究者による名エッセイを収録。
目次
月ぞしるべこなたへ入せ旅の宿
うかれける人や初瀬の山桜
きてもみよ甚べが羽織花ごろも
あら何ともなや昨日は過ぎてふくと汁
かびたんも蹲ばはせけり君が春
枯れ枝に烏のとまりたるや秋の暮
櫓の声波ヲうつて腸氷ル夜や涙
芭蕉野分して盥に雨をきく夜かな
世に経るもさらに宗祗の宿りかな〔ほか〕
著者等紹介
伊藤善隆[イトウヨシタカ]
1969年東京都生。早稲田大学大学院博士後期課程単位取得満期退学。現在、湘北短期大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Takao
3
2011年10月31日発行(2015年7月25日、再版)。久しぶりに図書館で手にした本。芭蕉の生涯をたどりながら、デビュー作「月ぞしるべこなたへ入(い)らせ旅の宿」(寛文4年=1664年)から、辞世の句となった「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」(元禄7年=1694年)までの50句を紹介している。「秋深き隣は何をする人ぞ」も芭蕉の句だったんだ、ということを含め、様々な発見のあった本である。本書を読んで改めて芭蕉の句集を読んでみたくなった。2018/04/05
木倉兵馬
2
松尾芭蕉の俳句を年代順に並べて、その作風の変化を知ることができる一冊。なかなか興味深かったです。個人的に好きな句は「かぴたんも蹲ばはせり君が春」、「朝顔は下手の描くさえ哀れなり」の二つ。特に前者のオランダ商館館長を示す「かぴたん」の響きと文字のかたちが「なにやらゆかし」といった感覚です。2022/12/19
笛の人
2
面白かったです。ただ、正直に言うと、まだまだ俳諧は理解できない部分が多いなぁとも感じました。句については、最も印象に残ったのは辞世の句です。「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」という病床に伏してから詠んだ句は、最後の最後まで旅人であったのだなと思うと感慨深いです。その他、「道のべの木槿は馬にくはれけり」「月はやし梢は雨を待ちながら」「春の夜や籠り人ゆかし堂の隅」などの句もいいなと思いました。俳諧は難しいですが、こうやって少しずつ触れていけば、少しずつわかってくるようになるかなと思っています。2022/07/17
鴨の入れ首
1
松尾芭蕉の主な俳句(俳諧)作品を、若書きから辞世の句まで年代順に並べてまとめた日本文学解説書です。文章が平易で分かりやすく、芭蕉の芸術をおおまかに理解するには格好の本と思われます。本書を読んで、思わず俳句を習ってみたくなりました。大変興味深かったです。2024/10/07