内容説明
相模は宇治の関白頼通時代に、一品宮脩子内親王の女房として才能を開花させた。『百人一首』に「恨みわび干さぬ袖だにあるものを」という妖艶な歌を残す。宮廷世界に入って多くの歌合に参加、能因・源経信・範永らに伍して活躍、後拾遺集時代の花として輝いた。
目次
岩間もる水にぞやどす
花ならぬなぐさめもなき
霞だに山ぢにしばし
見渡せば波のしがらみ
五月雨は美豆の御牧の
五月雨の空なつかしく
聞かでただ寝なましものを
下紅葉ひと葉づつ散る
手もたゆくならす扇の
ほどもなくたちやかへらむ〔ほか〕
著者等紹介
武田早苗[タケダサナエ]
1960年神奈川県生。横浜国立大学大学院修士課程修了。現在、相模女子大学学芸学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
11
「相模の恋には、みずからの情熱をわきからじっと凝視する別の心があり、それに夢中になることを欲しながら、一方ではそうなりきれぬ思いがある。自分を突き放して傍観する態度である。」(森本元子)宇治の関白頼通時代に、一品宮(いっぽんのみや)脩子内親王の女房として才能を開化させた。後拾遺集時代の花として輝いた。2024/03/10
きいち
2
あまりに美しいシリーズだったのでどれか一冊読みたくなって、他では読めなさそうだな、と手に取ったのがこの「相模」でした。「後拾遺集」のゴシップ好きっぷりを、著者が愛してることが伝わってきて、いい感じです。和歌って雰囲気は好きなのになかなか入り込めないのですが、これはすっと入れました。2012/04/07