内容説明
日本の著名な歌人を採り上げ、その代表作を厳選して紹介。一冊で取り上げる歌は40~50首(作品)。各歌には現代語訳をつける。振り仮名つきで読みやすい丁寧な解説つき。歌人略伝・略年譜を付し、生い立ち・歴史的背景がわかるようにした。それぞれの歌人についてより深く知るための読書案内付き。解説で、それぞれの歌人の特色と、文学史的位置づけを行う。巻末に作家・評論家・研究者による各エッセイを収録。
目次
1 『清少納言集』の歌(言の葉;恋;旅・物詣で ほか)
2 『枕草子』の歌(鳥のそら音;元輔ののち;空寒み ほか)
3 ゆかりの人々の歌(中宮定子;一条天皇;和泉式部 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
364
「夜を籠めて鳥のそら音ははかるとも世に逢坂の関はゆるさじ」―清少納言の歌の中では最も人口に膾炙した百人一首歌である。『史記』孟嘗君伝の故事「鶏鳴狗盗」を踏まえたものである。いかにも才気に溢れる清少納言らしいもの。ここからはたちまち『枕草子』第299段の「香炉峰の雪」を連想するが、私は高校生の頃にはこうした才走った清少納言が嫌いだった。その良さが理解できなかったのだ。今ではいとおしいとさえ思うのに。そんな想いで読むと、しみじみとした名歌揃いである。いずれも『清少納言集』にしかなく、埋もれているのは残念だ。2022/06/23
kaizen@名古屋de朝活読書会
59
#清少納言 #和歌 言の葉はつゆ掛くべくもなかりしを風に枝折ると花を聞くかな #返歌 事の葉を風の枝乗せ呟けばつゆあけぬれどみをみわたせり #清少納言集 2016/01/24
しゅてふぁん
23
再読。家集(清少納言集)から採られた和歌以外にも、枕草子からのものやその登場人物(一条帝や定子、実方等)の和歌も紹介されている。和泉式部と交わした和歌もあって楽しい!枕草子とはまた違った清少納言の一面を垣間見ることが出来て興味深い。『権記』(藤原行成の日記)に記された一条帝の辞世の和歌は定子に宛てたものであるというエピソードが好きだ。2017/07/02
ねね
12
枕草子、清少納言集からの彼女の歌を詳しく解説してくれる本。それだけに留まらず中宮定子と一条天皇の辞世の句やその背景まで紹介してくれています。冲方先生の「はなとゆめ」と併せて読まれることを超お薦めします!ううう、定子さま……(:_;)このお2人が本当に、この世を去ってしまうその時も、その後も結ばれていたんだと解る歌たち。当時の世では本当に珍しいことではないかと。美しい言の葉たち。清少納言の歌は、技巧も目を瞠る程素晴らしいのだけれど、そこに心を本当にうまく乗せているなあと感じます。2016/09/17
しゅてふぁん
5
平安時代の歌人が使う日本語は本当に美しいですね。言葉をとても大事にしているなとしみじみと実感してしまいます。清少納言のモノの見方や感性ってすごく素敵だなーと思います。2015/12/02
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