内容説明
物語文学史上の傑作『狭衣物語』の形成と受容の実態を解き明かす、精緻にして斬新なアプローチの軌跡。諸伝本入り乱れ、複雑な“交配”を重ねた『狭衣物語』。それぞれの本文を吟味する手つづきを示しながら、本文、和歌史、物語史、と、三つの視座からトータルに物語を解読してゆく。変容が激しく異文が多い物語と、どう向き合い対処するのか。その方法論をも指し示す。
目次
第1部 『狭衣物語』のテクストクリティーク(もうひとりの薫;『狭衣物語』の「宮の中将」をめぐって;『狭衣物語』本文論覚書;『狭衣物語』本文の機械的脱漏について;平安後期物語研究の展望)
第2部 和歌文学史のなかの『狭衣物語』(『狭衣物語』作中歌の背景;『狭衣物語』引歌拾遺;『狭衣物語』作中歌と中世和歌;後鳥羽院の『狭衣物語』受容)
第3部 物語文学史のなかの『狭衣物語』(「室の八島」の背景;『狭衣物語』の成立時期;『浜松』は『狭衣』のあとか;『夜の寝覚』と『狭衣物語』;『狭衣』を編集した物語)
著者等紹介
後藤康文[ゴトウヤスフミ]
1958年、山口県下関市生まれ。九州大学大学院博士課程単位取得。博士(文学)。九州大学文学部助手、宮崎大学教育学部助教授を経て、北海道大学大学院文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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