内容説明
平成二十二年、「能楽史の研究」により恩賜賞・日本学士院賞を受賞した著者による、大阪大学大学院で行った集中講義の記録。何をどのように研究してきたのか、能楽研究の第一人者が、舞台裏を明らかにする。
目次
能楽資料探索の道程
「史料を読む」(1)世阿弥少年期の三史料
謡本研究と謡曲研究
『談儀』に始まる世阿弥能楽論書探索
「史料を読む」(2)観世信光関係の諸史料
世阿弥能楽論研究をめぐって
世阿弥伝再考の流れ
「史料を読む」(3)江戸初期の文書二種
能・謡曲の作品研究をめぐって
室町能楽史新考
「史料を読む」(4)綱吉時代の能役者追放事件
近世能楽史新考
著者等紹介
表章[オモテアキラ]
1927年生まれ。北海道稚内市出身。東京文理科大学卒業。野上記念法政大学能楽研究所の助手・所員・所長として47年間勤務して能楽研究に従事。法政大学文学部の専任講師・助教授・教授を兼ねる。1998年に70歳で定年退職し、今は法政大学名誉教授。1995年に『喜多流の成立と展開』で角川源義賞を受賞。2005年に瑞宝中綬章を受章。2010年に能楽史研究の業績により恩賜賞・学士院賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
32
わたしはお能が好きで、結構水道橋の能楽堂に通っていました。謡曲や能楽論も好きで時たま読んでいます。小西甚一さんの本なども読んでいましたが、この読書メーターでこの本を紹介してくれて、とりあえず図書館から借りてきて読みました。ご自分の研究の足跡を講義調で書かれているので非常にわかりやすく頭に入ってきます。かなり高度なところまで書かれているので参考になります。手元に置いておきたい本です。2014/10/30
こんがら童子
4
内容が内容だけに、一般読者はあまり興味の湧かない内容だと思った。著者は業績もすばらしいし能楽研究の世界にかなりの貢献をしているとは思うけど、あまり好きになれる人間とは感じなかった。でも研究自体はすばらしいので、その点に関してはとても勉強になった。2010/12/13
みつひめ
3
お能の先生から「面白かった」と伺ったので、読んでみた。自分の知識も経験も足らないのにもかかわらず、面白かった。ご自分で何度も「運が良かった」とおっしゃっているけれど、そういう運をつかむ努力もそれだけなさったということだ。地道な積み重ねがあってのことなのはもちろんだけれど、研究ってこんなに楽しいのか。わたしももっとがんばって勉強を続けてればよかったな、と、まさに「後悔先に立たず」なことを思ってしまった。2011/10/17