内容説明
室町時代、世阿弥によって大成された「能」という演劇の基盤は何であったのか。能作品を生み出した重要な文学的基盤のひとつである、伊勢物語古注釈書を探ることから、その秘密に迫る。また能の芸能的基盤として重要な、鎌倉中期の歌謡、宴曲(早歌)からも考えていく。近世文化全体を見通したうえで、能を書誌学的調査から新たに捉え直す書。「伝二条為兼筆冷泉家流伊勢物語抄」「謡抄」など初公開資料多数。
目次
第1章 能の文学的基盤―伊勢物語古注釈の世界(伊勢物語注釈書に関する先行研究;冷泉家流伊勢物語古注の原型;「十巻本伊勢物語注」について―「伝二条為兼筆冷泉家流伊勢物語抄」;冷泉家流伊勢物語注の末書―「伝心敬筆伊勢物語注」について)
第2章 能の注釈書と古典世界(「謡抄」と古典世界―紹巴注を中心に;伊勢物語を題材とする能の注釈内容;古活字「謡抄」守清本の書誌学的研究;古活字「謡抄」単辺十二行本の書誌学的研究;整版「童舞抄」の書誌学的研究―本能寺版古活字本との関連を中心に)
第3章 能の芸能的基盤―宴曲の世界(宴曲研究史概要;金春宗家蔵『宴曲集巻第一』をめぐって;宴曲と天台の秘伝―“三嶋詣”の場合;宴曲“三嶋詣”に見る古典世界;明治期における宴曲研究)
〔附録〕金春宗家蔵『宴曲集巻第一』影印・翻刻・解題
著者等紹介
神田裕子[カンダユウコ]
1970年埼玉県に生まれる。1993年早稲田大学第二文学部文芸専修卒業。2003年早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。学位:博士(文学)早稲田大学。現職:明治大学法学部兼任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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