出版社内容情報
●内容紹介(版元ドットコムより)
『更級日記』『とはずがたり』『竹むきが記』...書くという行為で自らの運命を見つめた女性たちの生きざまを探る。
女神の消えようとする世界で、〈ひとり〉であることを知った女たちは、どこへ向かったのか。
●目次(版元ドットコムより)
序 女神の時代
[耽溺する少女 女神の末裔として 女が書いた時代]
■■Ⅰ 女神の末裔----『更級日記』菅原孝標女
1 東から西へ
[東の世界と西の世界 喪われた女たちの世界--東の世界から 阿弥陀の救済--西の世界から 女人往生の問題]
2 大嘗会御禊の日
[御禊の日の問題 摂関体制期の御禊]
3 皇統の女たち
[皇統の女四人 一品宮禎子内親王--あまてる御神--すくう神 伊勢斎宮●(「女」偏に「博」の旁)子女王 祐子内親王・脩子内親王]
4 初瀬詣で--女神との交感
[孝標女の初瀬詣で 観音信仰 プレ斎王たちの初瀬 験の杉 狐神からダキニ天へ 神々の連環する世界]
5 〈ひとり〉の世界へ
鎮魂と女
■■Ⅱ さすらいを生きる----『とはずがたり』後深草院二条
1 語る女
[川口善光寺 五人の遊女 二条の〈語り〉]
2 後深草院の世界
[宮廷に生きて 二条の〈父と夫〉 構築された遊女性]
3 二条の諸国行脚(1)
[江ノ島にて 一人の旅 小野小町の落魄のイメージ 熊野の霊夢--怨霊となった後深草院]
4 鎮魂する女
[女の聖性と穢れ 二条の〈さすらい〉〈語り物〉の世界から 後深草院の妻と娘]
5 二条の諸国行脚(2)
[二条は善光寺へ行ったのか 二条が訪ねた寺社]
6 物語の終りに
[後深草院との対話 二条のその後--一遍との奇妙な一致 終りに--女という現象]
■■Ⅲ 〈あらぬ世〉を生きる----『竹むきが記』日野名子
1 〈あらぬ世〉の始まり
[〈あらぬ世〉の始まり 〈あらぬ世〉をめぐって 時間の循環--『竹むきが記』上巻の世界]
2 〈あらぬ世〉に生きる時間
[名子の嫁入り 名子のさすらい--『太平記』の世界 『太平記』の女たち]
3 〈ひとり〉の世界
[『竹むきが記』下巻の世界 名子の時間 〈ひとり〉の世界]
4 さすらう王、光厳院
[語らない女 〈王〉のさすらい さすらう〈王権〉 〈王権〉のゆくえ]
■■Ⅳ 女神の消滅----説経『かるかや』
1 母殺し姉殺しの物語
[プロローグ 重氏の出家と北の方 父重氏の遁世]
2 母殺しの物語
[母殺し 女人禁制と遁世]
3 姉殺しの物語
[姉殺し 結び--男たちの悲劇]
後書き
年表
内容説明
『更級日記』菅原孝漂女、『とはずがたり』後深草院二条、『竹むきが記』日野名子。女の威力がまだまだ生きている社会でありながら、社会制度上は、女の存在価値が喪われていくという矛盾のなか、彼女たちの“書く”という根底にはひとつの覚悟があった―。その覚悟とは何であったのか。
目次
序 女神の時代
1 女神の末裔―『更級日記』菅原孝漂女(東から西へ;大嘗会御禊の日;皇統の女たち;初瀬詣で―女神との交感;「ひとり」の世界へ;鎮魂と女)
2 さすらいを生きる―『とはずがたり』後深草院二条(語る女;後深草院の世界;二条の諸国行脚;鎮魂する女;物語の終りに)
3 “あらぬ世”を生きる―『竹むきが記』日野名子(“あらぬ世”の始まり;“あらぬ世”に生きる時間;「ひとり」の世界;さすらう王、光厳院)
4 女神の消滅―説経『かるかや』(母殺し姉殺しの物語;母殺しの物語;姉殺しの物語)
著者等紹介
小林とし子[コバヤシトシコ]
1954年(昭和29)、大阪市生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科国文学専攻博士後期課程満期退学。現在、作新学院大学等で非常勤講師。所属学会は、女性学会、日本文学協会等。『さすらい姫考―日本古典からたどる女の漂泊』(2006年、笠間書院)で2006年度女性文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。