内容説明
“近代的自我”とも“古代的呪術者”とも異なる新たな家持像を独自の視座からの照射により発掘。家持自然詠の抒情性が宮廷儀礼歌と喩のゆらぎ、中国詩歌の影響から立ち昇る新たな自然讃美によるものであったことを解き明かした労作。
目次
1 万葉集儀礼歌と自然―家持自然詠を導くもの(「見れど飽かぬ」と詠む主体―宮廷歌人と自然詠;「そがひに見ゆる」考―赤人紀伊国行幸歌を中心に;隠れる吉野―赤人吉野讃歌が描くもの;黒人「叙景歌」の内実)
2 後期万葉と自然(「見明らめ」られる自然;家持の「興」と『文心雕龍』―「喩」としての自然をめぐって;興・賦・遊覧・賞心―歌の「喩」と詩の「志」)
3 大伴家持と自然―自然詠と集団性(巻六「授刀寮散禁歌群」―春日讃歌としての読み;霍公鳥への恋―四一七七~七九番歌を中心に;春愁三首考―「心」を「悲し」とうたうこと)
著者等紹介
古舘綾子[フルダテアヤコ]
1974年宮城県生まれ。1997年東京学芸大学教育学部小学校教員養成課程卒業。1999年フェリス女学院大学大学院人文科学研究科博士前期課程日本文学専攻修了。2004年フェリス女学院大学大学院人文科学研究科博士後期課程日本文学専攻修了。2004年博士(文学)号取得。現在、フェリス女学院大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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