出版社内容情報
累計130万部突破『四日間の奇蹟』の著者・浅倉卓弥が描いた、渾身の浅倉版「平家物語」である『君の名残を』が装いも新たに復刊します。平安末期にタイムスリップし、それぞれ、源義経の相棒の武蔵坊弁慶、木曾義仲の愛妾である巴御前、北条政子の弟である北条義時として生きていく、武蔵、友恵、そして四郎の三人。時が自分たちを選び、この時代に運んだ意味を知ったとき、それぞれ愛する者のために大きな決意をするが……。
内容説明
源義経と木曾義仲、乱世に突如登場した二人の武将は、いかにして英雄になりえたのか―。歴史の非情な歯車と闘いながら、必死に運命に挑む友恵と武蔵。「時」が自分たちを選び、この時代に運んだことに果たしてどんな理由があるのか。その意味を知ったとき、友恵と武蔵はそれぞれ愛する者のために大きな決意を胸に秘める。そして志郎は…。大胆な着想で「平家物語」を慟哭のロマンスへと甦らせた、著者渾身の一作。
著者等紹介
浅倉卓弥[アサクラタクヤ]
1966年、札幌市生まれ。作家・翻訳家。東京大学文学部卒業。2002年『四日間の奇蹟』(宝島社)にて第1回『このミステリーがすごい!』大賞(金賞)を受賞。同作は映画化もされ、ミリオンセラーに。著書・訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
宇宙猫
27
流し読み。歴史の流れには抗えないというテーマだそうだが、歴史をなぞっているだけで面白味がなかった。主人公達は歴史を殆ど知らないので、流れを変えようという気持ちはあっても実際に抗ったりしない。歴史に残ってないが実は...という話もほとんどない。上巻の安徳天皇のところで少し期待したんだけど、後が続かなかった。2023/02/19
二分五厘
23
歴史は動き出す。義仲は軍を京へと進め、鎌倉を拠点とした頼朝は、義経を西へ送る。後の歴史の流れを知る読者は、これより積み上げる、英雄達の輝ける武勲とその先訪れる暗雲の未来に、ページをめくる手も滞る。彼等の活躍をじっくり読み通すために。そして巴と弁慶もまた歴史を知るが故に、自問自答を繰り返す。自分達がこの時代に送られてきた理由とは。この時代に生まれた人々、そして思いがけなくこの時代に放り込まれた三人。時代の要請に応えて、皆が精一杯生きて、生き抜いた末、流れ出す変革の刻。だけどそれはあまりにも切なく、哀しい。2023/09/08
assam2005
18
義仲の未来が徐々に不穏なものになっていく。義仲の未来を変えようとする巴の必死さが見ていて辛い。時代の中心となった為政者は歴史として美化され、敗北者は醜化される。学生の頃、授業で聞いていた話と違うじゃないか!消えていった者達の方が人間的であり、歴史上残った者達のサイコパスな面が隠される。色んな逸話をドラマ仕立てに組み立てられ、この作者さんの思い描いた世界の構想に固唾を呑む。こういう解釈があってもいいんじゃない?最愛の人の死を見るのと、自分の死を見るのと、どちらの苦しみの方が深いのでしょうか。2024/11/13
奈良 楓
16
【とても良かった】● 「鎌倉殿の13人」を見ているとちょうど(2022.4)旬の話。 ● 高校生の同級生がふとしたことから巴御前と弁慶として生きることに。 ● 高校生のこの2人の行く末に驚愕する話。普通高校生たちにはハッピーエンドが与えられると思うのに、完全に裏切られる。その結末はとても切ない。2022/04/23
rakim
11
もう一人タイムスリップした中学生の志郎は北条義時に(これって大河ドラマで小栗旬さんの役?)。タイムスリップした3人の学生以外に、亡者?あるいは時の伝承者?として登場する僧侶がいるのですが、タイムスリップ小説としてはなんだか私には意味不明でした。結局歴史を変えることは出来ない?し、でも変えてこうなった?としても曖昧だし、壮大な輪廻と考えるべきなのでしょうか。結局今現在は必然で、先人の生きていた積み重ねを意識させる歴史小説だったということなのでしょうね。自分の前世もあるかもしれない。2024/08/19