出版社内容情報
営業利益率は脅威の55%超、社員の平均年間給与は2000万円超──。売上高は1兆円に満たないながらも日本の時価総額ランキングで第3位に入るのがキーエンスだ。日本を支えてきた製造業の弱体化が指摘される中、なぜキーエンスはこれだけの結果を残せるのか。その神髄は顧客の心をつかむ営業や商品開発、人材育成の仕組みにある。外部にほとんど明かされないキーエンスの正体に日経ビジネス記者が迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
147
従業員の平均年収が二千万円を超えるのに売上高営業利益率55%という驚きのキーエンスさん。営業や商品企画(粗利率80%!!)で、当り前のことをここまで数値化・目標化・可視化して徹底しているのが凄い。背景となる「顧客の欲しいものは作らない」「顧客の潜在的な需要に応える付加価値を創造」という精神は、「誰が、ではなく、何を言ったか」を問うオープンでフラットな社風で養われているという。本書は光の部分の紹介だが、なぜファブレスで全商品即納が可能か、陰の部分はないのかなど、もう少し多面的にこの会社を考えてみたいと思う。2023/05/08
きみたけ
124
図書館の予約で1年近く待った本。著者は日経ビジネス記者の西岡杏氏。キーエンスを象徴する4つの数字、時価総額14.5兆円、営業利益率55.4%、平均年収2183万円、自己資本比率93.5%。国内トップ3の時価総額、メーカーとして驚異の利益率、上場企業では屈指の高賃金と突出している。公式・非公式、社内・社外を問わずあらゆる関係者に話を聞いて回った渾身のルポ。キーワードは「外出報告書」「ロープレ」「ニーズカード」「内部監査」など。ありふれた仕組みを本気で徹底する「最後の数センチメートル」の差がキーエンスの強み。2024/06/30
R
111
優秀な新入社員がさらに優秀になって、会社から巣立っていくのにつぶれない組織というイメージだったが、その噂の正誤を確かめるようなルポで大変面白かった。そりゃ社員が優秀なはずだという人材育成への会社の姿勢が目を見張るもので、大上段に教育としているのではなく業務のプロセスとして、面談練習を組み込む発想が凄いなと感心した。実際に内部の証言というよりは周辺の人のコメントを集めているので、やや伝聞調なのが気になるけど、非常に優れた思想と社風だと思った。2023/05/03
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
81
(2023-18)日本を代表する高収益企業で、高報酬が得られる企業。その反面「30代で家が建ち、40代で墓が建つ(過労死)」とも揶揄される。勿論そんなブラックではなく、ずば抜けた営業力と商品企画力。粗利益八割の商品を作るにはコスト削減ではなく高付加価値にしなくてはならないが、その為には徹底して客のニーズを掘り起こし、他社より高い製品の良さを客に伝える必要がある。その為の仕掛けはどれも特別なことではないが、それを徹底的にやり切る社風がすごいと感じた。営業マン、商品企画に携わる方、読んで損は無い。★★★★★ 2023/02/25
あすなろ
78
キーエンス社は知る人ぞ知る非常に興味深くベールに包まれた会社である。或る意味、憧れや羨望があるとも言える。それがどういう会社なのかは、一時仕事で競合分析した際にも不明であった。それを日経ビジネス誌記者である筆者が様々なキーワードより紐解いた貴重な一冊。今年上半期のビジネス書上位にランクしたのも頷ける。事前準備・ロープレ・ハッピーコール・即納99.9%、それを可能にする教育や仕組み等。年収平均2,200万…。もっと知りたい活かせる事多そうな会社であり、更に知りたく読みたくなる一冊。2023/07/30