戦略文化―脅威と社会の鏡像としての軍

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戦略文化―脅威と社会の鏡像としての軍

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  • サイズ 46判/ページ数 344p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784296120635
  • NDC分類 391.3
  • Cコード C0031

出版社内容情報

『失敗の本質』は、日本軍を題材に日本的な組織の欠陥を明らかにした稀代の名著だ。では、そのような問題点をはらんだ軍の型はどのように形成されたのか。本書は、軍の型は脅威と戦略、そして文化によってつくられるという戦略文化の考えに基づいて、日本の軍の根源に迫る試みである。

 一国の軍や軍事制度の性格は多くの場合、二つの要求によって形作られる。一つは脅威への対応を含めた国家の戦略的要求。もう一つは、社会の価値観や規範等を含む文化的要因である。軍隊は社会の鏡像と言われるほど、意識的あるいは無意識的にその国固有の文化から強い影響を受ける。地理的条件や民族的特性、自然環境や宗教、世論や社会思想等が創り出す文化は、軍の性格を決める基盤となる。

 例えば、他国から武力侵攻を度々受けてきた国では、外的脅威に対する恐怖観と国防に対する強い信念、軍事を重視する価値観が形成され、国力を結集した屈強な軍ができやすい。反対に安全保障に恵まれた地理的環境にあり、外敵との交戦経験が少ない国家には、平和的文化が根付き、軍はその国の文化を反映し、その点で国民的性格を帯びたものとなる。軍の姿とは、国民の意思の反映であり、社会の価値観を作り出す文化とは、軍の外面ではなく内面的強さの真髄、言わば「魂」を創り出す役割を果たしている。

 また、「脅威」と「文化」の間には相関性があり、脅威が弱まれば文化の影響は強まり、脅威が強まれば文化的要因を度外視せざるを得ない戦略がつくられる構図となっている。なぜなら、間近に脅威が迫っているにもかかわらず、反軍的な文化ばかりを優先すれば、その国家は滅びてしまうであろうし、逆に脅威もないのに意味なく軍事力を高めることは、限られた国家資源を無駄に浪費するばかりか、近隣諸国との間に安全保障のジレンマを生みかねないからである。軍の型は「脅威」と「文化」のバランスと調和によってつくられていると言ってよい。

 日本の近代陸軍を形づくったのは、まぎれもなく幕末から押し寄せた列強からの「脅威」であった。日本には、脅威に対応し、いち早く近代国家を築き上げるための強い軍が必要であった。日露戦争後、脅威から幾分解放されても、脅威への対応と野心的な国策を満たすための大陸政策と攻勢的戦略が引き継がれ、軍は「外征軍」となったことで発展した。しかし、そこに作用していたのは、脅威だけではなく、社会思想や世論、民族意識やアジア蔑視といった日本人のアイデンティティをバックボーンとした文化でもあった。                                                          本書は、日米両軍を事例に、両軍がどのような「脅威」と「文化」の影響を受けて建軍され発展してきたのか、特に社会がどのように軍を受け入れてきたのか、両国の文化的側面にスポットを当て、両国の戦略文化を明らかにしていく。

内容説明

日本軍と米軍の個性はどのように形作られたのか。軍の形は、脅威と文化のバランスと調和によってつくられる―。戦前の日米両軍および戦後の米軍と自衛隊を比較し、軍の形成に影響を与える戦略文化を明らかにする意欲作。

目次

序章 戦略文化論と軍を形成する条件
第1章 戦前の米軍と戦略文化―「文化」との闘い
第2章 反軍的文化と予備兵力増強施策
第3章 戦略的合理性と反軍的文化により廃案となったUMT構想
第4章 日本軍と戦略文化―「脅威」との戦い
第5章 「外征軍」として発展した日本陸軍
第6章 真逆となった日米の戦略文化と軍隊(自衛隊)
第7章 日本の戦略文化と自衛隊
終章 異質の文化を絆とする日米同盟

著者等紹介

坂口大作[サカグチダイサク]
防衛大学校防衛学教育学群総合安全保障研究科教授。1984年3月防衛大学校人文社会科学専攻国際関係論専門課程卒業、陸上自衛隊勤務を経て、2011年4月より現職。この間、防衛大学校総合安全保障研究科前期課程、ピッツバーグ大学公共国際関係大学院、ヘンリー・スチムソンセンター訪問研究員、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科国際政治学博士後期課程修了(国際政治学博士)。元1等陸佐(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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パトラッシュ

119
企業の社風が異なるように、軍隊も各国の歴史と国民性と地政学的事情を反映する。世界最強とされる米軍が「必要悪」として創立され、独立戦争を根源とする米国民の強い反軍的文化から長く冷遇されてきた。一方で外国からの侵略への国民的恐怖下で建軍された旧日本軍は海洋国家であるべき国が大陸国家的軍隊を持ったため不自然に膨張し、対外侵略へ突っ走ってしまった。しかし第二次大戦後の米軍は世界の警察官として君臨し、逆に日本では反軍文化による歪んだ平和主義が浸透した。軍隊も時代や政治の事情が支配する人の集団なのだと考えさせられる。2025/01/05

Miyoshi Hirotaka

18
軍隊には外からの脅威とその国固有の文化面が作用する。わが国の場合、開国以来脅威を基調に建軍され、文化が入り込む余地はなかった。列強各国の軍制が混在したのはこのため。一方、州で構成され、外敵から侵略される可能性が皆無だった米国には文化が作用。このため、平時には州兵、有事には連邦軍形成という仕組みになった。米ソ冷戦後、米国が核の脅威を肩代わりしたため、米国は脅威中心、わが国は文化優勢の組織に変質していった。日米の軍組織の成立は建軍時から真逆。また、先の大戦を機にそれぞれが入れ替わる形で同盟が形成されている。2025/02/02

田中峰和

7
第二次世界大戦で勝者と敗者に別れた米国と日本だが、その歴史において共通する部分もあった。米国は建国時、欧州のような君主制ではなく民主的過ぎたため、軍の強大化を脅威とみなす傾向が強かった。それは戦後日本の左翼系言論が軍事=悪とするのに近い。当然、平和時は軍への依存は軽視され、その規模も縮小される。日米ともに、陸海軍の兵数は驚くほど増えた。ポツダム宣言のとき、日本の陸軍は640万、海軍は186万にもいた。戦後の冷戦は、戦前とうってかわり米国国民は軍の重要性を認め、呑気な日本は軍備を軽視させてきたようだ。2025/03/21

ゼロ投資大学

2
第二次世界大戦以降の日本の自衛隊とアメリカの軍隊の歴史と役割を詳細に分析していく。アメリカでは第二次世界大戦を契機に、軍の意義が確立し、世界の警察として各地で軍事力を行使するようになった。日本は第二次世界大戦の敗戦を機に軍隊は解体されたものの、冷戦下における日本の戦略的価値が増したことにより、自衛隊を組織し、国際秩序の安定への貢献を求められていく。国内では災害対応などで日本国民の支持を得ており、安全保障に留まらない活動が期待される。2024/11/17

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