出版社内容情報
政府、企業が地球環境を重視する政策に突き進む中、企業年金や保険会社など機関投資家はそれに乗り遅れまいと環境投資に走り、「責任ある投資」がブームになった。化石燃料企業を投資対象からはずす行為(ダイベストメント)は、優良投資家の鏡とされた。
ところが、2022年、大きな反動が起きた。環境株のパフォーマンスが落ち、石油株が選好される中で、環境投資の意味を問う動きが強まったのだ。米国では、フロリダ州で反ESG投資の声が大きくなり、「もうESG投資という言葉は使わない」と言い出す経営者もいた。新規の環境ファンド設定の動きも激減している。
そもそも投資の目的とは何か、環境対策と企業の成長は連動するのか、といった根源的な問いが世界を覆う。環境対策に突き進むと同時に投資パフォーマンス向上を目指す「二刀流」は成り立つのだろうか。環境投資の現状や、厳格化するルールなど世界の潮流を概観しながら、環境マネーの行方を探る。
内容説明
利益追求か社会貢献かそれとも…。脱炭素に向けてのカウントダウンはロシアのウクライナ侵攻などによって逆回転を始めた。様々なところで断層を生む世界の動きを追う。「投資」の原点を問う、迫真のストーリー。
目次
第1章 「環境投資は是か非か」の二元論
第2章 ESG投資の疾風怒濤と反動
第3章 石油会社の逡巡と新動態
第4章 ダイベストメントかエンゲージメントか
第5章 ESGで政治が分断される米国
第6章 環境の評価、適正化への模索
第7章 環境ビジネスへの期待と現実
第8章 コモディティーからの警鐘
著者等紹介
山下真一[ヤマシタシンイチ]
日本経済新聞社金融・市場ユニットシニアライター。1987年日本経済新聞入社。証券部記者、シカゴ支局長、証券部次長などを経て、東京編集局法務報道部長。その後、デジタルメディア局次長、副ユニット長。2020年から現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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