出版社内容情報
◆わが国では近代企業が誕生した明治時代には早くも社史が刊行され、著者の調査によれば、これまでにおそらく7000社以上が社史を出す、世界でも珍しい社史大国となった。一方で多くの人は社史に触れる機会などほとんどなく、長いあいだ関心も持たれることもなかった。かつては著者自身もそうであったが、雑誌の執筆依頼をきっかけに社史の研究に取り組み始め、実際に社史を読んでみると、経済小説顔負けの面白さがあったという。社史には仮定の話ではなく実際にあった出来事や状況について、具体的かつ子細に記録されていたからだ。同じような会社・同じような歴史は一つもなく、本書で取り上げる会社の多くは、時代の大きなうねりの中で幾多の試練を乗り越え、創業から100年を超えてなお繁栄を続けている。
◆著者が30年にわたり合計約1万冊の社史を観察・分析をしてきた結果、各企業の発展の要因、危機の克服、ターニングポイントなどが自然に浮かび出てきたという。どの会社も創業者たちに共通するのは、着眼点や観察眼、時代を見る目の確かさ、先見性と明確な目的意識、自助自立の精神、絶えざる創意工夫、チャレンジ精神である。
そして、事業を始めた動機はビジネスチャンス、つまり「儲かるから」ではなく、国や人々を物心両面で豊かにあるいは便利にしたいという社会に対する使命感と志の高さであった。また、時代や経営者がかわっても創業者の哲学・経営理念を長く引き継いでいること、苦境に立たされても常に前を向き、信念と工夫で危機を切り抜けている点も共通している。さらに、独自技術を応用・発展させ、人々の生活に革新をもたらしていることにもうならされたという。これらが記された社史は、先人起業家たちの足跡を記録した、まさに生きた「経営の教科書」である。
内容説明
なぜあの会社は伸び続けてきたのか?社史だからこそ知りうる岐路、キーパーソンの登場、運命を決めた英断―など、61社の企業興亡史から強い会社のDNAを浮き彫りにする。
目次
第1章 気骨ある創業者・経営者―飽くなき追求
第2章 国産化に挑む―果敢なチャレンジ精神
第3章 郷土・地域の発展と活性化
第4章 新機軸を出す―着眼点・発想の転換
第5章 新戦略誕生―分社化・機械化・ユニット化・多角化
第6章 独自技術を高める
第7章 新たな価値の創造―生活を豊かに快適に
著者等紹介
村橋勝子[ムラハシカツコ]
社史研究家。経済団体連合会(現・(一社)日本経済団体連合会)元・情報メディアグループ長。在職中に約1万冊の社史現物を観察して斬新な切り口で多面的に実態分析し、2002年に『社史の研究』としてまとめ注目を浴びる。一般にはなじみのなかった「社史」という情報領域に潜む尽きぬ魅力を広く一般に紹介した社史研究の第一人者。退職後は、社史研究家として社史の魅力等について広めるべく講演、執筆活動を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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