出版社内容情報
世界秩序を生み出した歴史的背景を理解できれば、中国、中東の問題点も見えてくる――。
21世紀の国際秩序のありようを、国際関係論の第一人者が歴史的な観点から読み解く。ロングセラー『外交』に匹敵する名著。
本書は、キッシンジャーの名著『国際秩序』(2016年刊)を上下に分けてビジネス人文庫化するもの。
下巻では、親中派と見なされているキッシンジャーが中国について厳しい評価を示し、アメリカがどのような大国であるべきかを論じる。
「いま、世界史をあらためて克明に学ぶことが、きわめて重要になっている。グローバリゼーションや、インターネットの普及で、従来は触れ合うことのなかった社会が密接に交流し、そこに複雑な状況が生まれている。そういうときこそ、過去に目を向け、歴史から教訓を得るべきだろう。
本書は、21世紀の国際秩序のありようを歴史的な観点から考察している。いわばキッシンジャーの「大世界史」だが、アメリカ政府で枢要の地位にあったキッシンジャーらしい視点が垣間見られるのも興味深い。また、21世紀の世界が誤った方向に進まないようにという著者の願いが、端々に感じられる。
現在の世界の状況を理解するには、歴史をよく学んで関連性を見定めていかなければならない。そんなふうに歴史の流れを汲みとるのに、『世界秩序』は最適の参考書である」(「訳者あとがき」より抜粋)
内容説明
冷戦時代の枠組みは、アメリカ、ヨーロッパ先進国、ソ連といった限られた地域の国々が参加して作られた制度であった。しかし、冷戦終結後、中国、インド、ブラジルが発言力を強める一方、ロシアは自国の衰退を直視することを拒否し、様々な行動に踏み切っている。この「真にグローバル化した」国際環境において、どのような「国際秩序」が作られるべきか?いま最も重要な話題にキッシンジャーが挑む。
目次
第6章 アジアの秩序に向けて―対決か協調か?(アジアの国際秩序と中国;中国と世界秩序 ほか)
第7章 「すべての人類のために行動する」―アメリカとその秩序の概念(世界という舞台におけるアメリカ;セオドア・ルーズベルト―世界の大国アメリカ ほか)
第8章 アメリカ―矛盾をはらんだ超大国(冷戦のはじまり;冷戦の秩序のさまざまな戦略 ほか)
第9章 テクノロジー、釣り合い、人道意識(核時代の世界秩序;核拡散の問題 ほか)
結論 私たちの時代の世界秩序は?(国際秩序の進化;私たちはここからどこへ向かうのか?)
著者等紹介
キッシンジャー,ヘンリー[キッシンジャー,ヘンリー] [Kissinger,Henry]
元国家安全保障問題担当大統領補佐官、元国務長官、国際政治学者。キッシンジャー・アソシエイツ会長。1923年生まれ。ドイツ出身。ナチスの迫害を逃れて米国に亡命。第二次世界大戦では米陸軍に所属し、ヨーロッパ戦線で戦った。復員後にハーバード大学に進学。69年にはニクソン政権の国家安全保障問題担当大統領補佐官に就任。フォード政権では国務長官を務める。ベトナム和平を実現したパリ協定の締結によって、73年ノーベル平和賞受賞。今日に至るまで米国の外交・安全保障政策に多大なる影響を及ぼしてきた人物
伏見威蕃[フシミイワン]
翻訳家。1951年生まれ、早稲田大学商学部卒。ノンフィクションからミステリー小説、軍事未来小説まで幅広い分野で活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Hiroshi
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