内容説明
戦争から東京に戻った藤田俊雄は異父兄とともに、スーパーマーケットを開業、店舗網を広げ成長を遂げる。どん欲に売り上げを追う仲村力也、消費にも文化を、と訴える大館誠一ら、ライバルたちと競い合いながら、戦後の日本の流通業界を大きく変えていく。作家・江上剛氏がカリスマ経営者の姿を描く。
著者等紹介
江上剛[エガミゴウ]
1954年、兵庫県生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。人事部や広報部での勤務、支店長を経験。1997年の総会屋事件では解決のために奔走した。2002年、在職中に小説『非情銀行』(新潮社)でデビュー。2003年、銀行を退職し作家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はじめさん
18
イトーヨーカドー創業者モデルの経済小説。1ダース分、12売って、2の利益、手取りで16.6%の商売。お客様の得に。戦後復員し、母と兄が経営する雑貨店に就職した青年。2人は肉親というより、商売の師。売れ残った在庫は仕入先に返品すればと言えば、仕入先に迷惑かけるなと鉄拳飛んでくる。返品率ゼロだからこそ、安い値で卸して、在庫難のときに無理きいてくれる。売り場面積拡大とともに、生鮮食品なんかも取り扱いはじめ、スーッと出てパーっと消えると陰口叩かれながらも、和製スーパーマーケットの誕生。目をかけた部下の新たな提言…2020/03/21
華形 満
11
戦後の物不足の時代を出発点に、現代を代表する流通大手に至る経緯が実に淡々と綴られているが、淡々過ぎて教科書的とも言え、小説としての色彩には欠ける印象。地元商店街との共存共栄はあくまで理想ではあるが、規模拡大していくとその理想は無謀へと変質してしまったのは誰の目にも分かる。シャッター街化の例を出すまでもないだろう。創業家の商売に対する信条が大規模化に伴い微妙に変質していってしまうのは時流に敏感にならざるを得ない流通業の最も難しいところであろう。2019/10/18
咲
8
お客様に選択してもらう。1つなら強制、2つは押し付け、3つ揃って初めて選ぶ楽しみを味わってもらえるんだ。提案でも何でもそうですよね 2024/08/27
はやたろう
8
スーパーマーケット、イト-ヨーカドーの創業者の物語2022/08/25
さんつきくん
7
イトーヨーカドーの伊藤俊雄社長をモデルにした伝記的小説。戦前、主人公の母が実の弟の店から暖簾分けしてできた洋華堂(のちのイトーヨーカドー)。終戦直後、東京大空襲で延焼を間逃れた地・北千住のラーメン屋の一角で足袋を売り再出発。そこからチェーン店となり株式上場するまでの大手スーパーとなるまでを描いたサクセスストーリーで主人公俊雄の大河小説でもある。俊雄は軍に召集されるが、戦地に行くことなく終戦。サラリーマンになるが商人になりたいと、母と兄が経営していた洋華堂で働くことになる。2022/03/08