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エピタフ―幻の島、ユルリの光跡

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  • サイズ 46判/ページ数 240p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784295016540
  • NDC分類 291.12
  • Cコード C0072

内容説明

深い記憶の霧の中に、霞みゆく馬たちの島。住人ゼロ、上陸禁止、馬だけが暮らす現代のロスト・ワールド。木村伊兵衛賞写真家による“ユルリ島をめぐる冒険”の記録。

目次

プロローグ 幻の島への未完の航海日誌
失われた時を求めて(ユルリ島をめぐる6つの対話;鉄索のある崖の上で―最後の島民・庄林泰三;追憶の島は霧の向こうに―最初の馬生・庄林ヨネ;海風の中の楽園に生きて―根室の牧場主・佐々木徳太郎;伯楽は光と影を胸に刻む―別海の牧場主・大河原昭雄 ほか)
ユルリについて私が知っているいくつかの事柄(根室、国後、そしてユルリへ;国後にまつわるスクラップ;道東の馬に息づく気高い血脈;理想郷を支えた名牧場の記憶;花園効果と白い花弁の不思議 ほか)
エピローグ 幻の島

著者等紹介

岡田敦[オカダアツシ]
写真家・芸術学博士。1979年、北海道生まれ。2003年、大阪芸術大学芸術学部写真学科卒。2008年、東京工芸大学大学院芸術学研究科博士後期課程にて博士号を取得。同年、“写真界の芥川賞”とも称される木村伊兵衛写真賞を受賞。その他、北海道文化奨励賞、東川賞特別作家賞、富士フォトサロン新人賞などを受賞。作品は北海道立近代美術館、川崎市市民ミュージアム、東川町文化ギャラリーなどにパブリックコレクションされている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

1
写真家・岡田敦さんのユルリ島の馬を辿るエッセイ。 戦争により翻弄された人々が生きる為に選んだ先、重要な役割を担った馬達。当時を知る方々の話を岡田さんがインタビュアーとなり、知る事の出来る貴重な内容でした。神田日勝記念美術館での企画展示では、馬達の美しさに圧倒されました。本当に幻のようでした。 馬は群れで暮らす動物です。残っているのは2頭だと岡田さんは当時仰っていました。最後に残される馬の姿を想像しては形容し難い感情が湧いてきます。長く過ごした場所で、最後まで静かに彼女らの生が全うされる事を祈るばかりです。2024/04/24

TTK

1
「そうなんだよな。ペットでないからよ、結局はこっちに連れてきたってよ、食用馬になるんだ。自分の意思でよ、生死を決められるわけではないんだよな。だけど、島に置いとけばよ、あいつらは自分の命を全うすることができるんだよな。そう思ったからよ、オラは馬が幸せだと思って……」[最後の島民・庄林泰三さん] p.140 ▼ そして大河原さんは僕を見て、こう付け加えた。 「岡田さん、人間ぐらい悪いやついないから」 僕は大河原さんと居間でお茶を飲みながらも先ほど目にした去勢の情景が頭から離れなかった。 p.992023/09/15

関口伸二

0
生まれてときから血が途切れることが決まっている幻馬をとりまく人間模様が描かれている 人間による維持が出来なくなり手放さざるをえなくなってもなお、ユルリ島の馬を想う人々のカタルシスが心に来る 庄林親子(特に母親)の発言の「あまり思い出したくない」とあったが最後には涙を浮かべながら懐かしさを語ったシーンは複雑な感情を汲み取れる2024/04/24

romanista

0
幻の島、馬というワードに引き寄せられるが、そこに確かにあった人間の営みに心を動かされる。外的要因によって変化せざるを得ない状況と、それでも一緒に過ごした動物への敬意には苦しさと同時に美しさを覚える。2024/01/14

pontering

0
「冬の馬は本当にたくましいぞ。黙々と生きるからな、あの雪の中でもよ。人間が教えなくても、ちゃんと生き方を知ってるんだ。餌を与えてもらってるわけでもない、手をかけてもらってるわけでもない。自分たちの力だけでよ、仔っこを産んで育ててよ。なんも人間が手をかけなくても、ちゃんと生きられるんだ」2024/01/07

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