内容説明
六〇年代終わりの高度経済成長期のなか、これまで類をみなかった少年犯罪が起きた。十九歳の永山少年による連続ピストル射殺事件である。一九六八年十月十一日未明、東京プリンスホテルでガードマンを射殺し、その後も犯行を繰り返しながら逃走をつづけ、翌年四月七日、東京で逮捕された―。高度成長期の六〇年代を背景に、永山少年の犯行、心の闇にまで迫ったドキュメント。そして、一九九七年八月一日、死刑が執行された。
目次
1 事件(強盗殺人事件;生い立ち、第一の犯行 ほか)
2 逮捕(都会を徘回する少年;都市化と過疎と集団就職 ほか)
3 逃走(犯行に至るまで;骨まで愛して ほか)
4 射殺(東京・芝、ホテルガードマン射殺;京都・八坂神社、警備員射殺 ほか)
5 呪縛(オレを三回捨てた;呪縛からの解放 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
10
永山の犯行時の心象と時代背景を記す。幼い頃の貧しさ、母に捨てられた事実、愛する長姉の発症、都会東京での浮足立った生活。他人から愛情を受けられず、完全に孤立したとき、かろうじて自己を制御していたリミッターが外れたのだろう。2019/06/09
ayaka
2
詳しく書かれているのは良いけれど、事実と引用と著者の意見が入り混じっていて読みづらかったです。思い入れがあるのかもしれないけれど、明らかにこの構成は逆効果な気が…。2013/01/11
りさこ
0
永山の心を常に支配していた「ここではないどこかへ」という感情。横浜、横須賀、神戸、そして網走。海辺の街への固執。とにかく外へ逃げたい。それなのに、どこへも行き場がなければ、帰る場所もない。孤独。永山がひどく衝動的な人物であったことは事実だが、この事件が「少年の行き当たりばったりの衝動による犯行」とはとても思えない。2013/06/01