内容説明
植民地支配から国を救った男は、西欧諸国やCIAからの後ろ盾を得て英雄ともてはやされるが、いつしか暴君と化して民を苦しめ、内乱により失脚した。植民地政策、民族主義運動、冷戦構造―その深奥に隠された現代史の真実に迫る。延べ10年の現地滞在経験による渾身のドキュメンタリー。
目次
植民地時代から独立まで
ジョゼフ・デジレ・モブツの生い立ち
独立の喜びから動乱の悲劇へ
ルムンバの排除とモブツの登場
混乱収拾の努力とハマーショルドの殉死
革命派の勢力拡大とその制圧
モブツが満を持して舞台に登場
邪魔者の排除
モブツ独裁体制の確立に向けて
経済的独立への闘い
モブツ政権の経済運営は
ザイールに進出した日本企業
腐敗していくモブツ体制
表面化してきたモブツ体制の矛盾
危機的状況の中でモブツは!
民主化の闘いとモブツの抵抗
生活苦に追い込まれた国民
モブツ体制の崩壊に向けて
モブツ最後の年一九九七年が明けて
著者等紹介
井上信一[イノウエシンイチ]
1933年、福岡県太宰府出身。現在は東京都多摩市在住。東京外国語大学仏語学科卒業後、外務省に十三年間勤務。その後、日本鉱業(現新日鉱HD)で海外資源開発事業に従事。その間、パリ、ブカレスト、コンゴ、ヒューストン、アブダビなどに在勤。現在はボランティア活動三団体の役員を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kanaoka 58
7
コンゴ民主共和国の歴史が良く分かりました。ルワンダ内戦からコンゴ紛争へと至る内容に興味を持ち、本書を読み始めましたが、ここでもルワンダと同様、ベルギー植民地の酷さ、フランスの国際政治工作の穢さ、アメリカの勝手放題の姿を思い知らされます。冷戦期の政治的駆け引きや宗主国の経済利権の維持などか絡み合い、モブツのような独裁者を生み出す。ベルリン会議による不自然な国境線、ヨーロッパ諸国に好勝手に利用・扇動されてきた部族対立、植民地時代の経済構造への隷属体質など、アフリカには克服しなければならない課題が山積している。2024/05/04
印度 洋一郎
4
独立以来半世紀以上を経ても、未だ平穏にならない国コンゴに長らく君臨した独裁的指導者モブツの生涯を軸に、コンゴの近現代史を綴る。ベルギーの苛斂誅求で準備も整わない中の見切り発車的な独立、そして戦国時代のような内戦に突入する中で台頭したのが軍人モブツだった。反共姿勢をアピールしてCIAから援助を引き出し、冷戦下「自由世界の友」としてしぶとく生き残り、西側から与えられた膨大な援助を私物化。計画性の無い、恣意的なインフラ整備を繰り返して経済を破綻させ、自分と一族は栄華を極める。絵に描いたような途上国の独裁者ぶりだ2016/02/09
カドリール
2
わかろうとしてもわからない物事の推移を追いかけるので精一杯でした。矛盾がどこから始まっているのか、どうすればいいのか、コンゴに対しても、折しも検察庁法案改正が提出された我が国をひるがえってもいったい自分なら何ができるのかわからない。困った。2020/05/14
browneyes
1
独立後のコンゴ(民)の、モブツによる混迷独裁政治の、至るまで、至ってから、そして終焉までがだいぶよくわかった気がする。(人が変わっただけで、独裁政治そのものは結局終焉になってないけど) ルワンダ大虐殺~カビラに取って代わられるあたり、ルワンダ側のWikipediaそのものをいくら読んでもツチ・フツの違いで混乱しちゃってボンヤリしちゃってたけど、むしろこの本で理解が進んだ。 これだけひどかったモブツより更にひどいというローラン&ジョセフ・カビラ物語(そんな本ない)も読みたいところ。2017/08/12
ハマザキカク
0
読み終わるまでに超時間がかかった。事態の推移の描写が細かすぎるし、引用が多すぎる。2015/08/29
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