内容説明
この列車がずっと止まらなければいい。本当は行きたくないんだ。あの人が選んだ町なんかには。葛西真穂、十七歳。あの町で大人になることが怖くて、十五の身空で故郷を捨てた。ずっと憧れているあの人に、このサボテンの花が咲いたら会いにいこう。ねぇ、ちゃんと頑張ってるんだよ。あなたに認めてもらいたいから。それだけのため。それだけが、あたしのアイデンティティ。―人を想い続ける痛みを描く、表題作ほか、全2編を収録。不安定な心が織りなす高校生の恋愛グラフィティ。
著者等紹介
井上千尋[イノウエチヒロ]
1988年、北海道八雲町生まれ。無類の読書好きで、小学校3年生より執筆活動をはじめる。ミステリ、ライトノベルなどの執筆を経て、現在の作風に。2004年、函館市青少年芸術教育奨励事業文芸部門で金賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。