感想・レビュー
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山川欣伸(やまかわよしのぶ)
18
架空の国「ムーア国」を舞台に、独裁者サガンの野望と、その陰謀に巻き込まれる一人の薬学者の運命を描いた物語『ムーア国の闇』。サガンは、隣国から「したたか者」と恐れられる冷酷な独裁者です。彼の野心は、周辺国を次々と飲み込み、拡大していく様子は、まるで暗闇に広がる黒い影のようでした。そんなサガンの魔の手が、平凡な薬学者の日常に忍び寄ってくるのです。この小説が描くのは、権力の恐ろしさと、人間の脆さです。一人の人間に権力が集中すると、どんなに善良な人でも豹変してしまうのか、サガンの行動を通じて痛感させられます。2024/09/01