内容説明
“あわいの館”を訪れた津島修治(太宰治)は、次々と行方不明事件を解決するが、同時に自分の中の大切な何かを失っていく。それでも、周囲の期待に応えようと奔走する修治だったが、期待をよそに問題ばかり起こしてしまう。心機一転、作家としての成功を目論み、難事件の解決に乗り出すが…。過ちを繰り返しながらも人々を惹きつける太宰の魅力とは何か。探偵として行動する中で、人間・太宰治の真の魅力に迫る異色の青春物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
to boy
26
期待以上の内容。太宰の半生を有名なエピソードなどうまく脚色して面白い話に仕立て上げてくれました。あの世との境にある「あわいの館」を行き来しながら事件を解決していくのだが、孔雀婦人4の屋敷があわいの館そっくりで、彼女の存在が夢か幻のような不思議な場面。初代とのなれそめと別れ,無垢を信じていて裏切られた思いなど二人の気持ちが切ないようでした。2017/09/16
きょん
17
幼少時から妻との離婚までの時代に関わる事件がいくつか。臨死体験の度に出てくる「あわいの館」が独特の雰囲気があり、もっと孔雀夫人が関わってくるのかと思ったら案外あっさり。しかし、死との距離感がやたらに近い人物なんだと思うと周囲の人々は大変だっただろうなあ。ミステリというより若干ホラーよりか?2017/07/24
紅羽
12
太宰治の人生をベースにした、ミステリ作品。彼が自らの死と向き合った時に現れる「あわいの館」、そして多発する行方不明事件。太宰治の薄氷の上に立つような繊細な心の動きに引き込まれた。2017/08/03
神在月
8
何故か漠然と作者は女性だと思っていた。がっつり男性だった。太宰の資料を集めていた時になんとなくクリックして買ってしまった一冊。それにしても表紙のイラストがこれだと読み手を狭めてしまうだろうなぁ。はぁ、余計なお世話ですか。さいですか。太宰前期をうまく物語に取り込んでいると思う。ずっと考えていたのは、作者は太宰好きなのだろうかということ。これだけのものを書くのだから好きなはずだと普通は考えるが、俺は太宰は人間のクズだと思っているので、実は作者はそれほど太宰が好きではなく仕事なので書いたのでは?と推測してみる。2020/05/10
Masashi Matsuba
8
太宰治という作家自体詳しくないが、明治、大正、昭和初期の作家は結構荒れた生活と聞いている。そういう事を聞いてからこの話を読むと、こういう事もあるなと思いながら読んでしまう。ただ、時代を忠実にした事でかえって言葉などが読みにくかった。2017/07/24