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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆかーん
61
斬新!加害者、ナチス側の視点で描いた小説。ナチとして捕虜を89名殺したマックスシュルツ。しかし戦争に負けたことで、犯罪者に成り下がった彼は、自ら殺したユダヤ人の友人、イツィヒフィンケルシュタインに成りすまして生きる道を選びます。腕に囚人番号を入れ、パレスチナへ亡命し理髪師と働く彼。ユダヤ人を憎んだことなどなかったドイツ人が、命令に従い沢山のユダヤ人を殺すという現実…。こうして、何十年も嘘をつき、犠牲者の影に身を隠す人生を送ってきたマックス。偽りの姿で死ぬことは、死刑より重い刑罰かもしれないと感じました。2017/12/02
fumi
0
虚勢を張って与した体制からの疑いを晴らすために人は残虐な行為に走るのかもしれない。2014/08/24
かきたにたくま
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強烈な本。ナチだった主人公は幼なじみのユダヤ人になりすます。ナチでありながら風刺されるユダヤ人そのものの風貌、大量虐殺者でありながらユダヤ人として活躍する皮肉。あやういバランスが面白い。2014/04/28
yoyoyon29
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*反転、連鎖が、不思議な迫力と魅力を感じさせる。 ・生者が死者と、加害者が被害者と、罪が罰と、内では対話し続け、外には偽装する。 ・普通の人間(それだけのこと。なぜだかわからない。知らない。)が詩的な言葉(朝焼けは清純な乙女である海が図図しい太陽に起こされ赤面、白い鳥の羽が降りしきる雪)を持つ。 ・植物と人間が重なる。根をおろすこと。イスラエルの植樹と600万のユダヤの死者。 ・フロイト。鞭とファシズム。母親の太ったお尻への執着。2019/01/15