感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
茶瓶
4
清廉で、賢く、穏やかな文化人であり官僚である小野篁。一方で己の信じる道を生きる強さもある。しなやかな強さは、父や母から与えられ、周囲の人と誠実に関わる事で鍛えてきたものなのだと思った。 この時代の知識はほとんど持っていないので、物語の形で読む事ができて良かった。2017/06/12
あめ子
1
夜な夜な冥府へ行き閻魔大王の補佐をしていたという説話が有名な小野篁。篁が主人公として登場する小説のほとんどはこの説話を題材にしたものであった。少々それに飽きていた私が探し求めていたのは遣唐使の一件を題材にした小説であった。本書は期待していた以上に私の≪篁にある様々な説話━特に遣唐使の一件を取り上げた━が含まれた小説を、篁の人間像がありありと伝わってくる小説が読みたい≫という欲求を叶えてくれた。小野篁好きにとってこんなに豪華な小説はなかなかないと思う。2011/11/10