感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yuta
4
明治の初めに、オーストリア万博を契機に政府のお抱え会社として、当時は国家事業だった万博の出品を一手に引き受けた会社「起立工商会社」を起こした松尾儀助の話。政商とあるが、明治に大きくなった会社は大なり小なり政府の恩恵を受けている。日本で初めてニューヨークに支店を持った会社でもあり、その功績は現代でももう少し評価しても良いかもしれない。2023/11/10
人生ゴルディアス
2
起立工商会社を率いた人の人物伝。がちがちの歴史書、伝記ではなく、著者的には小説だったらしいが(あとがきでそう書いている)、途中にさしはさまれる登場人物の小話を除いたら、立派に歴史書じゃない? という不思議な感じ。というか、この小話も、いかにも時代劇らしい様式美がちゃんと書かれていて、ううむ天晴れ、堅苦しい説明の息抜きにぴったりな感じ。ただ逆に小説だと胸を張られると、歴史解説が多すぎるので、歴史書だと思います。ちなみに起立工商会社について詳しく書かれている現代の本は少ない気がするので貴重な一冊。2015/03/16
絜
1
起立工商会社社長・松尾儀助の曾孫による伝記。著者自身があとがきで述べているように、本書はとくに青年期以前についての創作性が高く、基本的には小説として読むべき内容。ただウィーン万博以降は、参照可能な資料が豊富になるのもあって、史料に基く意識も強く見られる。全体としては佐賀の人的ネットワークに注目し、明治人の「心性」を描き出そうとする点が特徴的。最後に松尾儀助が大隈重信のためにアメリカで杖を購入したエピソードが面白かった。2025/07/14
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