内容説明
死ぬことは怖くなかった。だって何が起きても確実にわたしは死に至る。わたしは死ぬ。それだけは決まっているんだから、安心して。本当の死ってこういうこと…死に向かって生きる二十代を描いた長編小説。
著者等紹介
小坂流加[コサカルカ]
静岡県出身。第3回講談社ティーンズハート大賞で期待賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あん
67
弱冠二十歳で余命10年を宣告された主人公の茉莉。ストーリーの各所に、太字で茉莉の心の叫びが挿入されているのですが、治ることはない病への葛藤、命の期限、恋する喜び、友人との距離感...飾り気のない言葉が胸に刺さりました。余命10年という限られた時間の中で何をしたいのか、何をすべきなのかは思いつかないけれど、今という瞬間をただ一生懸命生きようと思いました。2017/06/03
えんちゃん
65
20歳で告げられた余命10年宣告。人生で一番楽しいはずの年頃に、死ぬ準備をしながら生きる女性の青春物語。恋をして初めて自分を愛おしく思う気持ち。死とはその愛おしい自分と別れること。著者は主人公と同じ病により39歳の若さで逝去された。リアルな心情が胸を打つ。来年映画化の予定。誰が演じるのかな。若い死は、本当に悲しい。2021/08/27
美葉
41
読者を泣かせにきているなと思った。携帯小説のような、終わり方。期待してたほど、面白くなかった。「余命10年」と言われたら、自分は何をするかな。主人公のように強く生きていられるわけない。。何もできないだろうな。2018/11/06
maxa
37
難病に侵された茉莉の余命はあと10年。「あと10年しか生きられないとしたら、あなたは何をしますか。」との問いに、私は何も思い浮かべることができなかった。せめて健康で…ってしたいことじゃないじゃん。そう気づいて、なんて勿体無い人生を流そうとしてるんだろうと気が付いた。茉莉は寿命のことを考えて臆病になったり、友人たちの優しさからくる言葉に打ちのめされたりしながらも、趣味や恋愛などをやり遂げていく。ちょっと周りを翻弄させ過ぎな部分もあったけど、やりたいことを諦めないこと、気持ちを伝えること。最後まで精一杯。2021/10/04
kotetsupatapata
29
星★★★☆☆ タイトルの通りヒロイン×難病が主題。 物語の内容や結末はおおよそ想像した通りの定番作品ですが、他の作品と大きく異なるのは、著者が同じ病<原発性肺高血圧症>で既に逝去されている点。 各段落の最後の心の叫びや、ラスト30頁の最期へ向かう心情の吐露は鬼気迫るものがありました。 物語の感想は人各々ですが、読後自分に置き換えてどう生きていくのか?を命題にする事を著者は望んでいるのかもしれません。 月並みですが、今当たり前に生きている事、そして目の前の小さな幸せを愛おしく感じたいものです。2022/08/15