内容説明
ケーキさん(十五代将軍徳川慶喜)がお忍びで…と今も語られる駿府の花街。時の流れとともに、姿を変え、空襲で焼失してしまった花街の在りし日の姿を尋ねて、関係者への聞き書きを主に、精査した文献、資料と併せて丁寧に纏めた近代史研究の秀美。
目次
第1章 ある女将
第2章 巴さんの話
第3章 廓のうち・そと
第4章 二丁町にいた妓生たち
第5章 もと楼主の話
第6章 進駐軍慰安施設
第7章 台屋の話
著者等紹介
小長谷澄子[コナガヤスミコ]
1923年、中国大連に生まれる。静岡市在住。旧制高等女学校(静岡県立静岡高等女学校)卒業。もと小学校教諭。静岡県近代史研究会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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YK
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江戸時代から昭和の戦前まで栄えていた静岡の二丁町遊郭について、著者が当時の街、風俗習慣、商いなどについて聞き取り取材を行った記録的著作。かつて徳川家康が京都の伏見より遊女を呼び入れて駿府城下の遊郭を作り、七ケ町あったうちの五ケ町は江戸に移って吉原を形成し、残った二ケ町が二丁町となったらしい。遊郭・遊女といっても戦時中は公認慰問所であり、いたって真面目で堅実な経営で性病予防の定期検診なども行われていた。静岡市葵区駒形通の跡地は静岡県地震防災センターとなっており、その横に稲荷神社と遊郭由来の石碑だけが残る。2025/02/02