内容説明
一人の人間の一日には、必ず一人、「その日の天使」がついている。憂鬱を笑い飛ばし、絶望の淵で微笑む―。
目次
1 僕に踏まれた灘高(学校の話;十年目の約束 ほか)
2 ブルースの除湿法(月島の日々;一本ぶんのモク想 ほか)
3 その日の天使(チビの女神さまへ;恋の股裂き ほか)
4 かくも深き眠り(スウィーテスト・デザイア;哀しみの鋳型 ほか)
著者等紹介
中島らも[ナカジマラモ]
1952年兵庫県生まれ。小説家・ミュージシャン。印刷会社、広告代理店勤務を経て作家活動に。1992年『今夜、すべてのバーで』で第十三回吉川英治文学新人賞、1994年『ガダラの豚』で日本推理作家協会賞受賞。2004年7月26日死去。享年五十二歳(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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バネ
52
昔好きだった中島らものエッセイ。「巷のエッセイが面白くなくて、腹立って、その怒りから書き始めた」と言うだけあって、非常にクセがあり、アクが強いが、その根っこには愛情がある内容だった。昔、 書店であったサイン会で「人生において、愛とお金、ドッチが大事ですか?」と質問した時に、「そんなもん、愛に決まっとるわ!」と即答された日のコトを思い出す。本当に人間味溢れる方だった。2020/09/08
みゃーこ
47
らもさんのエッセイの中でもかなり好き。らもエッセンスがいっぱい詰まっている。哀愁、悲喜劇、危うさ、脆さ、愛情。この人はやっぱり天才だなと思った。むちゃくちゃ好奇心旺盛で話していることもまともなのだがやっていることがハチャメチャ。おっちょこちょいで。最後の「わが葬儀」の章はほとんど自分の死を予言しているところがドキッとした。らもさんがよく見ていた夢、(大学の単位が足りなくてどうしようかという夢。は私もいまだにうなされている。2019/05/17
コウメ
43
らもさんやっぱり面白いな。生年月日見ると池上彰氏と同じ世代なのか〜ビックリした。灘校出身のらもさん凄い学校なのにシンナーやお酒、タバコを吸って過ごしてなんだろめっちゃ頭良くて自由な人だな。/らもさんのいう英語教育について激しく同意、らもさん自身中高大で約8年間英語の勉強したのに英語が喋られない。タイや台湾で英語で話すとI am a taxiなんてむちゃくちゃな英語を話したりするそう。不定冠詞や目的語なんて、どうでもいいどうせならペラペラ白人と喋れるように教育して欲しかった。*゚∀゚)*。_。)ワカルワカル2019/05/15
まーちゃん
24
既読と未読の入り混じったエッセイ集・・帯見たらベスト版的なものでした。らもさんは学生時代から何度か繰り返し読んでいるので、懐かしさもあり、自分の年齢と共にしっくり来ないところもあったり。でも、このバランスの悪さも何とも言えず好ましかったりもする(苦笑)今はエッセイより小説の方がおもしろい。またいつか読み返す時にはどう感じるのかなぁ。。らもさん、またね。2013/02/09
ズー
17
「今夜、すべてのバーで」を彷彿とさせるエピソード多数。とはいえ、あれはほぼノンフィクションで書いてあるとのことで驚愕。面白くてぶっ飛んでるイメージだけれど、繊細でロマンティストな面も見え隠れしていて素敵…。とくに本のタイトルでもある「その日の天使」なんて、急にらしくなく、救いのあるほんわかした美しいエッセイだと思う。人生後半は睡眠薬でぼんやりしていたみたいで、だから酒と合わせて、フラッフラで転んで亡くなってしまったのかな…と思った。本人の想像しなかった形で。2023/09/11