内容説明
初刊のデザインの香りをつたえる新しい愛蔵版詩集シリーズ。自責の念と愛情が強烈に交錯する長篇詩。
目次
序詞―墓
1 その夜
2 さかしまにのぞく望遠鏡のなかの童話
3 来歴
4 明るい淡さ無機質の
5 祈り
6 サヨウナラよサヨウナラ
終詞―墓
著者等紹介
宗左近[ソウサコン]
1919年5月1日、福岡県遠賀郡戸畑町牧山峠に生まれる。本名は古賀照一。1939年、一高文科丙類に合格。1942年、東京帝国大学哲学科に入学。1945年、東大哲学科を卒業。東大仏文科大学院に入学。1946年、都立女子専門学校のフランス語の教師。年1948年、都立第六高等女学校にもフランス語教師として勤務。1953年、法政大学のフランス語教師。1967年、長篇詩『炎える母』(翌年、第六回歴程賞受賞)を彌生書房から刊行。1973年、ストックホルム大学の講師として赴任。1986年、法政大学を退職し、昭和女子大学教授。1994年、中句集『藤の花』(第一〇回詩歌文学館賞受賞)を思潮社から刊行。1995年、昭和女子大学を退職。9月、評論集『宮沢賢治の謎』(翌年、第一一回賢治賞受賞)を新潮社から刊行。平成16年(2004)9月、スウェーデンの第一回チカダ(蝉の声)賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
燃えつきた棒
29
昭和二十年五月二十五日夜、B29が投下した焼夷弾に燃え上る炎の海のなかを母と手をつないで逃げ惑っていた詩人は、いつしか母の手を放してしまう。そして、詩人は燃えさかる炎のなかに母を置き去りにした。 林静一『モモコさんと僕』の「僕」のように、母の保護者になるとうそぶいていた僕は、病院の閉ざされた部屋に母を一人置き去りにした。 五十年前にはじめてこの詩集を読んだとき、いずれはこの詩人と同じことを自分自身がしでかすということを、僕は既に知っていたような気がするのだ。詩人の建てた母の墓の前に、しばし佇んでいたい。2024/01/27
きさらぎ
1
ものすごくありがちな言葉で言うと、大学生の頃に本書の抄録を読んで人生観変わりました(苦笑)