目次
1 格差社会の現状(若者にとって働くことはいかなる意味をもっているのか―「能力発揮」という呪縛;階層社会のなかの若者たち;高卒で働く若者をどのように支えていくか―高卒就職の「自由化」をめぐって)
2 再生産の文化的装置(「やりたいこと」の現在;新しい「階級」文化への接続―「動物化」するわれわれは「社会」をつくっていけるのか?;文化的装置としての学校;職場と居場所―居場所づくりの二類型)
3 もっとスローな社会へ(貧乏人生活!;ニート・ひきこもりが教えてくれること;「怠ける権利」の方へ)
著者等紹介
小谷敏[コタニサトシ]
1956年鳥取県生まれ/中央大学大学院博士課程満期退学。現在、大妻女子大学人間関係学部教授。専攻は現代文化論、マスコミュニケーション論
土井隆義[ドイタカヨシ]
1960年山口県生まれ/大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程中退。現在、筑波大学大学院人文社会科学研究科教授。専攻は社会学、逸脱行動論
芳賀学[ハガマナブ]
1960年東京都生まれ/東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。現在、上智大学総合人間科学部教授。専攻は宗教社会学、文化社会学
浅野智彦[アサノトモヒコ]
1964年宮城県生まれ/東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。現在、東京学芸大学教育学部准教授。専攻は自己論、アイデンティティ論、物語論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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チェ・ブンブン
23
鬱に成る程、ノーフューチャーをつきつけられる本。今のうちから、恋愛や遊びをしまくっとかないと後悔するなと痛感させられる。確かにこの本を読んで、親やメディアのバイアスを強く受け育てられ、「〜でなくてはならない」という強迫に襲われるが、社会に出た時に果たすのは困難。この不条理はバイトのマネージャーの疲労具合からも伺えるだけに社会人になるのが億劫になるのである...2014/02/15
Max Brown
1
「文化」から一転、全体的にぺシミスティックな論調。本書は、①格差社会の現状を指摘した上で、②悲惨な若者たちに自らの境遇を甘受させる「再生産の文化装置」を浮き彫りにし、③最終的に現状に対する処方箋として「脱労働」への道について論じられる、という流れになる。①、②は、主に教育社会学者たちによって執筆されており、統計的データや新しい理論に基いた学術研究が多く、「不幸な」若者の現状を大局的に把握することが出来る。冒頭の本田論文は流石手堅いが、特に高卒生の就職に焦点を当てた堀論文やルーマンの教育論を応用し2013/09/01
黙劇
0
労働は3時間でいい、という主張はおもしろい。お金をどんなに稼いだとしても、消費にはキリがなく、人生にはキリがある。限られた人生の中で、無限の消費のために無限の労働をするのはいかがなものかという主張。労働賛美の風潮に一石を投げる。また、「ニートの何が悪いのか?」と問われれば、たいして悪いところはないような気がする。引きこもりも同様で、何が悪いんだろうか。ニート万歳!引きこもり万歳!2015/06/08
凡栽
0
最後の二章は必読。労働礼賛社会への決別2012/08/01
mami2011
0
学校の構造、いかにして仕事場で居場所を創造するのか等、興味深く読んだ。現状の批判が多めに感じられたが、問題点の洗い出しという位置づけとして正しい本。2011/06/10