どう考える?ニッポンの教育問題
道徳教育はホントに道徳的か?―「生きづらさ」の背景を探る

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  • サイズ B6判/ページ数 368p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784284304474
  • NDC分類 375.35
  • Cコード C0037

内容説明

学校で教わった狭く窮屈な道徳の見方を脱ぎ捨ててみませんか。そして、もっと大きくゆったりと道徳教育について考えてみませんか。きっと世界が今までとは違って見えてきますよ。

目次

はじめに―道徳教育ってつまらない?
第1章 読み物資料の奇妙な世界
第2章 道徳教育の道徳度を問う
第3章 歴史は語る―学校の道徳教育の非情さ
第4章 別の道徳教育へ
第5章 学校の外に広がる道徳ワンダーランド
第6章 学校がなくても道徳は学べる―共同体道徳を学ぶということ
第7章 生命尊重をめぐる危機?
第8章 迷走する道徳教育―市場モラルがもたらす分裂
第9章 ルールに、ご用心
おわりに―これまでの道徳教育に別れを告げよう
ブックガイド

著者等紹介

松下良平[マツシタリョウヘイ]
1959年、鹿児島県生まれ。現在、金沢大学人間社会学域学校教育学類教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かさ

9
小・中学校の道徳は多くの生徒にとって、教員の求める答え当てゲームか、評価基準に沿う考えをでっちあげる作業である。あえて道徳の時間の空気を読まない一部の生徒は、おそらく教員から異端とみなされる。このような道徳は、全く道徳的ではないという意味で失敗だが、ルールに無批判で従順な人間を育てるという、道徳の裏の目的としては成功している。生徒がこうした道徳教育から学ぶのは、授業に臨む際に知性を働かせることを放棄する態度である。学校の嘘っぽい道徳教育は、生徒に建前としての利他主義と本音としての利己主義を身につけさせた。2016/11/06

ばーぜる

4
この本を読んで、生活保護の不正受給の話を思い出しました。働くより、ただでお金をもらえるならそれの方がいい。仕事をしなければ、その分家族と一緒にいられるから、家族も喜ぶし。だから不正受給してもいいんだ!という解釈になる本だと感じました。道化師の話で、著者は偽善的な考え方を良しとする人なんだなと感じました。約束を破っても誠実さをなくしても、いい話があれば飛びつく。結果よければそれが「善」みたいな。自分としては、この本に疑問を感じました。日本が治安のいい国であるのは、今までの道徳教育があるからではとも思いました2013/02/14

もくそん元帥

3
道徳の時間=よい子養成タイム。現在の道徳教育、すなわち市場主義に根差された形式としての態度の養成(フーコー的にいえば「従順なる身体」)を気持ち良く批判している。それに対して、贈与・応答する関係の中で成立する〈世界〉に開かれたコミュニケーションとしての「道徳」を再構築しようと試みている。きっと本書のバックグラウンドになる思想は、ハーバーマスなどのポストモダンやJ・デューイたちかな?2012/11/01

ophiuchi

3
道徳教育がおかしな方向に向かっているのは古くからの道徳観と市場主義とが相容れないから。閉塞感を打ち破るには新しい価値観の創成が必要だ。東京や大阪の首長は問題をよりややこしくしている。2012/03/25

たろーたん

2
覚書。利己主義と反利己主義があって、道徳は「反利己主義=利他主義」を勧めるけど、この二つは決して対立するものではない。自分の成長を通して他者に利益を与える場合は利己主義・自己愛だけど利他的になる。反利己主義は迷惑をかけることを極端に嫌うため他者とのかかわりも希薄になるし、自分の生命や財産への必要な配慮も出来ない。権力者の支配を受け入れやすい素地を作る。それなのに、自己犠牲的な物語を読ませて、他の選択肢も考えさせず、「利他的であろう!」「自己犠牲は尊い!」として、するのが学校の道徳の問題点である。(続)2021/04/07

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