内容説明
障がいのある子の兄弟姉妹たちに捧げる小児科医によるはじめての絵本。実体験に基づいたエピソード。障がいのある「おとうと」がいる小学生の「ボク」。おとうとのことが好きだけれど、ちょっと恥ずかしい気もちもある。そんなグチャグチャな心と向き合って「ボク」がたどり着いた答えとは?
著者等紹介
湯浅正太[ユアサショウタ]
1981年生まれ。小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)。高知大学医学部を卒業後、自治医科大学附属病院、亀田総合病院、国立精神・神経医療研究センター病院勤務を経て、現在、亀田総合病院小児科部長。自身の経験から「障がいをもつ子どもたちや、その家族が生きやすい世の中を」という思いをもち、病気やハンディキャップをもつ子どもの兄弟姉妹(きょうだい児)の支援に取り組んでいる
石井聖岳[イシイキヨタカ]
1976年生まれ。絵本作家・イラストレーター。名古屋造形芸術短期大学を卒業後、『つれたつれた』(内田麟太郎・文、解放出版社)で絵本作家としてデビュー。2007年に『ふってきました』(もとしたいづみ・文、講談社)で日本絵本賞、講談社出版文化賞絵本賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とよぽん
56
小児科医の湯浅さんは、自身の辛い経験から障害のある子の兄弟姉妹を支援するNPOの活動をしている。弟を可愛いと思う一方で、他の人と比べて変わっているところがストレスにもなっていた。しかし、「みんなとおなじくできないよ」と訴える弟の心の叫びを受け止めて・・・。先日、ラジオ深夜便で湯浅さんがお話されたことも、絵本と同様に全ての子どもに向ける愛情とあたたかさを感じた。2021/10/01
まま
54
きょうだい児のケアはここのところは当たり前に意識されてきたのだろうけど、それでもこういう葛藤は間違いなくあるのだろうなぁ。自分を責める優しい子、自分を殺す大人な子、周りが気にしてあげなきゃいけないのは、むしろきょうだい児の方かもしれないね。2021/07/04
ネギっ子gen
49
<おとうとがすき。でも いっしょにいると ボクのこころは グチャグチャになる こんなふうにおもうボクは ダメな子?>という問い掛けから始まる――。障がいのある「おとうと」がいる小学生の「ボク」。弟のことは、もちろん好きだけど、少しそこのところは複雑。恥ずかしく、心配にも。家では、いつも弟のことばっかり。ボクは一人ぽっちみたいな気持ちになることも。そんなあれこれ思う感情と懸命に向き合って、「ボク」がたどり着いた答えとは? 障がいのある兄弟姉妹を持つ子ならではの悩みや不安、孤独な気持ちを当事者視点で絵本に。⇒2021/09/17
たまきら
45
支援学級があるので、「しょうがい」にそれほど抵抗がない子たちが多い娘さんの学校。運動会でも合同で大玉運びをするとき、必ず支援学級の子たちのいる場所でこぼれるのに、誰も何も言いません。ただ受け止めてます。自分は生徒たちのこの「受け止める」をうれしく思いました。兄弟とはまた違ったきずながあることで、社会があることで、兄弟のプレッシャーは減るんじゃないかな…色々考えさせてもらえる一冊でした。2021/04/12
anne@灯れ松明の火
41
読友さんご紹介。遠い方の新着棚で。障がいのある兄弟姉妹をもつ子を「きょうだい児」と言うそうだ。当人も、親も、大変だと思うが、きょうだい児も複雑な気持ちを抱えているだろう。以前、障がいを持つ兄の将来のために、弟妹をつくろうとしたというエピソードのある小説を読んだ。その時、とても苦しい気持ちになったのを思い出した。弟のことは、好きだけど、恥ずかしいとも思い、悩んだ末の「ボク」は……。こういう絵本が多くの人の手に届いてほしいと願う。石井聖岳さんの迫力のある絵が、とてもいい。2021/11/20