内容説明
不況の波が押し寄せた昭和初期にも「出版は不況に強い」といわれ、円本ブームを巻き起こすなどで、広告の出稿量を大幅に伸ばした。一〇年以降もパールバックの「大地」や石坂洋次郎の「若い人」、島崎藤村の「夜明け前」、横光利一の「旅愁」などが人気を呼んだ。一三年の火野葦平「麦と兵隊」は何と四五〇版を重ね、つづく「土と兵隊」や大日本雄弁会講談社の「われ等の空軍」などの戦争ものも時代を反映してブームを捲き起こし重版ラッシュに沸いた。中央公論社の豊田正子「綴方教室」や第一書房のヒットラー「我が闘争」も大ヒット、谷口雅春の「生命の実相」は広告文の中で三〇〇万部発行と記している。一四年に入ると中央公論社が谷崎潤一郎の「源氏物語」(全二〇巻)や徳富蘇峰の「昭和国民読本」なども刊行され、「岩波新書」や弘文堂の「教養文庫」ほか新書・文庫など手軽な廉価本も続々と発刊され出版界は活況を呈した。
目次
正受老人を看よ 信濃毎日新聞社
恩田木工 信濃毎日新聞社
婦人公論
御年始売出し 伊東屋
ホーオー号 菊地商店
蓄音機 ビクター
三河屋旅館
金語楼 テイチクレコード
オーム針
東京倶楽部〔ほか〕
著者等紹介
羽島知之[ハジマトモユキ]
昭和10年東京生まれ。35年東洋大学経済学部卒。(株)三栄広告社取締役、(財)日本新聞教育文化財団・博物館担当特別専門委員、東洋大学理事を経て現在、東洋文化新聞研究所代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。