出版社内容情報
没後20年、武満徹の初の本格的伝記。武満自身の発言や関係者の証言を交え生涯を辿る。コラム、略年譜、関係人物表ほか写真も多数。This book is the first full-scale biography of Toru TAKEMITSU. 没後20年、ありそうでなかった武満徹の初の本格的伝記。武満自身の発言や関係者の証言を交え、その生涯の軌跡を辿る。武満の人となりがよくわかるコラムのページを設け、巻末には略年譜と、武満をめぐる主要人物が一目でわかる表を掲載。貴重な写真も多数収録。著者は武満の年譜・資料研究の第一人者。武満とその音楽に関心のあるかた全員にお勧め! 装幀 菊地信義。
はじめに
第1章 音楽との出会い 1930‐49年(0歳から19歳)
コスモポリタンな幼少期
生まれ/両親/中国(満州)へ渡る/日本に帰国、小学校へ入学/育ての親/父の死/映画館通い
戦争が始まる
中学へ入学/空襲の惨禍/勤労動員先で/人生を変えたシャンソン
戦後の混乱
世田谷代田へ/激変した価値観/ピアノと紙ピアノ
恩師との出会い
清瀬保二/肉体としての音感/早坂文雄と映画の仕事/高校を卒業
コラム 背格好
第2章 切磋琢磨の日々?友情と愛、生と死 1950-57年(20歳から27歳)
作曲家・武満徹の誕生
CIE図書館での出会い/レントの発見/愛する女性との出会い/《二つのレント》でデビュー/シュルレアリスト、瀧口修造との出会い
美術+詩+音楽
詩画集『妖精の距離』/初めてのエッセイ「パウル・クレエと音楽」/「実験工房」結成/映画『北斎』での挫折/ピアノ曲《遮られない休息》――“悲しみ”の音楽/文楽からの衝撃
いつまで生きられるかわからない
結核で入院/詩人・谷川俊太郎との出会い/結婚/黛敏郎から贈られたピアノ/演劇との出会い
「音の河」、われわれをとりまく世界を貫くもの
ミュジック・コンクレート/吉田直哉と吉村保三との出会い/療養生活:鎌倉へ/畏兄・早坂文雄の死/ラジオドラマからテープ作品へ/ヴォーカリズム三部作
映画の世界へ
『狂った果実』/中村登監督との出会い
《弦楽のためのレクイエム》
はじまりも終わりもさだかでない音楽/大江健三郎との出会い
コラム 仕事部屋
第3章 前衛の時代 1958-63年(28歳から33歳)
動き始めた人生
日本的な表現と現代性の接点/二十世紀音楽研究所主催「軽井沢現代音楽祭」 /ストラヴィンスキーの来日/本質をめぐる議論
草月アートセンターでの熱い日々
前衛の拠点/勅使河原宏監督との第一作『ホゼー・トレス』/怒れる若者たち/作曲家集団の個展/安保闘争と挫折/療養生活を終え、東京へ/ジャズからの刺激/高橋悠治との出会い/樹のイメージ
ヨーロッパの前衛とアメリカの前衛
ヨーロッパの前衛――ベリオ、クセナキス、マデルナ/アメリカの前衛音楽からの衝撃/環のイメージ/小澤征爾との出会い/庭からのヒント/子どもの誕生/図形楽譜/ジョン・ケージの来日/赤坂を離れて成城へ
意欲的な映画監督との出会い
羽仁進監督『不良少年』/小林正樹監督『からみ合い』と『切腹』/勅使河原宏監督『おとし穴』
第4章 武満からTAKEMITSUへ 1964‐69年(34歳から39歳)
同時代の思想と感情
映画の仕事:篠田正浩、吉田喜重、恩地日出夫、勅使河原宏/『武満徹←1930………∞』を自費出版/初めての海外:ケージとジャスパー・ジョーンズとの日々
伝統と現代
尺八の横山勝也と琵琶の鶴田錦史/七十三人の演奏者と指揮者のための《テクスチュアズ》/ベ平連と《死んだ男の残したものは》/邦楽の名人との対談/御代田、はじめての家/現代音楽祭「オーケストラル・スペース」/琵琶と尺八のための《蝕(エクリプス)》/クーセヴィツキー音楽財団委嘱作《地平線のドーリア》/《弧(アーク))》/アフリカの民謡《アビヨヨ》
西も東もない新たな一歩(ステップ)
ニューヨーク・フィル委嘱作《ノヴェンバー・ステップス》/琵琶と尺八の渡 米/ニューヨークの熱気と乾燥/RCAレコード『OZAWA:MESSIAEN/ TAKEMITSU』/日本へのアンビヴァレントな感情/さわり(、、、)について/帰国/オーケストラル・スペース’68/信奉者、現わる!?/オーストラリア、ユーカリの樹
第5章 日本を拠点に、世界に窓を開く 1970‐79年(40歳から49歳)
Expo’70(大阪万博)の開幕
パビリオン「鉄鋼館」/スペース・シアターでの試み/スペース・シアターでの演奏会/万博の光と影/大島渚、黒澤明との仕事
欧米からのラブ・コール
ヴィルトゥオーソとの出会い:ニコレとホリガー/サラベール社の誘い/瀧口修造とJ・ミロの『手づくり諺』/『音、沈黙と測りあえるほどに』/アメリカ、フランスでの初めての特集/スランプ!?/バリ島、未知との遭遇/ロンドンで初めての特集
日本からの発信
現代音楽祭「今日の音楽 Music Today」/日本の楽器のための委嘱作/講義「鏡と卵」/これは前衛だろうか?/水のイメージ/星形の庭へ舞降りる鳥たちの夢/パリの秋(フェスティ)芸術(ヴァル・)祭(ドートンヌ)「間」展/岩波文化とのかかわり/瀧口修造との別れ
コラム 渋谷宇田川町へ転居/多摩湖町へ転居
第6章 普遍的(ユニヴァーサル・)卵(エッグ)を抱えて 1980-89年(50歳から59歳)
夢の風景、水の風景を音楽で描く
夢シリーズ、水シリーズ/ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』/「水の風景」/先住民(アボリジニ)の「夢(ドリーム)の(・)時(タイム)」/テレビと映画で広がる聴衆
正のエネルギーに変換する想像力(ヴィジョン)
示唆する者としてのかりそめの役割/若い人たちのために/イギリスでの協同者/夢と数――ロマンティストの醒めた眼/サイモン・ラトルとの出会い/映画の仕事/夢(む)窓(そう)、内部(インテリア)(夢)と外部(エクステリア)(窓)の問題
音楽祭での交友
トーキョー・ミュージック・ジョイ/海外の音楽祭での特集/サントリーホール誕生と「国際作曲委嘱シリーズ」/作品シリーズから作品の集積“opera”へ/「今日の音楽」、銀座へ/テンポ指示のなぞ/亡き人を偲ぶ音楽/オペラの構想?/フランス革命二〇〇周年祭/八ヶ岳高原音楽祭と飛騨古川音楽祭
第7章 希望 1990-96(60歳から65歳)
還暦を迎えて
シカゴ交響楽団委嘱作《ヴィジョンズ》/ヴァイナーへの連祷(リタニ)/アヴィニョンでの特集/還暦を祝う催し/欧米での祝祭/オペラの構想?/東京オペラシティ断章?
音楽世界の一市民として
ストルツマンと《ファンダズマ/カントス》/タケミツ・シグネチュア/E・ディキンソンの詩/「今日の音楽」、最終回/《系図》――ファミリー・ツリー/ハリウッドでの仕事/時代の潮流の中で/東京オペラシティ断章?/オペラの構想?/飛騨古川町への讃歌、《精霊の庭》
遠い呼び声の彼方へ
最後の旅行/癌を宣告され入院/御代田の秋/ポップスと武満/最後の一ヶ月/《マタイ受難曲》/永遠への旅立ち
おわりに
注/武満徹略年譜(小野光子編)/人名索引/武満徹作品名索引/武満徹をめぐる人々
小野 光子[オノ ミツコ]
国立音楽大学大学院音楽学研究科修士課程(音楽学)修了。年譜・資料研究を『日本の作曲20世紀』(音楽之友社)、『武満徹 暗い河のゆくえ』(平凡社)、『武満徹著作集5』(新潮社)、『武満徹全集5』(小学館)等に執筆。『武満徹全集』(小学館)、武満浅香著『武満徹との日々を語る』、『武満徹を語る15の証言』(以上、小学館)、『柴田南雄とその時代』(サンガクシャ)などの編集に携わる。翻訳にピーター・バート著『武満徹の音楽』(音楽之友社)。
内容説明
武満本人の発言や関係者の証言を交え、その生涯の軌跡を辿る。
目次
第1章 音楽との出会い―1930‐49年(0歳から19歳)
第2章 切磋琢磨の日々~友情と愛、生と死―1950‐57年(20歳から27歳)
第3章 前衛の時代―1958‐63年(28歳から33歳)
第4章 武満からTAKEMITSUへ―1964‐69年(34歳から39歳)
第5章 日本を拠点に、世界に窓を開く―1970‐79年(40歳から49歳)
第6章 普遍的卵を抱えて―1980‐89年(50歳から59歳)
第7章 希望―1990‐96年(60歳から65歳)
著者等紹介
小野光子[オノミツコ]
国立音楽大学大学院音楽学研究科修士課程(音楽学)修了。武満徹を20世紀の文化を築いた一人と捉え、コンサート作品だけでなく、武満の携わったすべての分野(ラジオ、テレビ、演劇、映画)にわたる作品リストを作成(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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Wataru Hoshii
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