出版社内容情報
ロシア生まれのチェリスト・指揮者、ロストロポーヴィチの波乱の人生をたどると同時に、チェロの地位を引き上げ若いチェリストを育てた独特の教育観、音楽観がいっぱい。
著者紹介:エリザベス・ウィルソン
ロストロポーヴィチの19番教室でロストロポーヴィチにチェロを直接師事したイギリス人ジャーナリスト。著書はほかに「ショスタコーヴィチの回想」がある(日本未出版)。
内容説明
1960年代のモスクワ音楽院。当時ロストロポーヴィチのクラスはゲンリヒ・ネイガウスのクラスと人気を二分していた。密度が濃く刺激的、ユーモア溢れる厳しいレッスン。本書ではこの世紀のチェロ・レッスンが目の当たりに再現される。プロコフィエフ、ショスタコーヴィチ、ブリテンらの作曲家や、リヒテル、小澤征爾との交流、知られざるエピソードがいっぱい。そしてソルジェニーツィンを擁護して亡命…。決して立ち止まることがなかったチェリスト・指揮者、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチの音楽家としての濃密な生涯をたどる。
目次
はじまり
モスクワ音楽院での修業時代
演奏家としてのスタート
年若い教師
作曲家たちとの交流‐1:グリエールからプロコフィエフまで
演奏に新たな境地を開く(一九五二‐六二)
音楽院の意欲的な准教授
作曲家との交流‐2:ショスタコーヴイチとその後継者たち
チェロの人気を高める
一九六〇年代初期
一九六〇年代に十九番教室で教えられたこと
曲の解釈
一九六〇年代後半
ソビエトでの最後の時期
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メルセ・ひすい
1
超天才 20歳前には教師であった!2009/12/25
セロ弾き
0
敬愛するロストロ。アイコンもロストロ。とても興味深く読んだ。弟子による1970年前半、市民権はく奪されときまでの評伝。恐ろしいまでの記憶力と集中力と行動力と技術と音楽性とヒューマニズム。こんな音楽家は再び現れるのだろうか。ますます敬愛の念を深くしました。2016/03/08
NyanNyanShinji
0
ショスタコーヴィチによるチェロ協奏曲の録音を聴き比べていて、やはり初演者である本書の主人公ロストロポーヴィチによる演奏がテクニッにおいても解釈においてもずば抜けており、改めてこのチェロの巨人の凄さに感じ入った。衆知のように彼には指揮者という顔もある。それに本書ではもう一つの音楽教師としての彼の顔が魅力的に描かれている。本書の著者はイギリスから留学生としてモスクワ音楽院でロストロポーヴィチからチェロの手ほどきを受けた。ロストロポーヴィチの教室である第19教室の厳しくも温かな空気が本書から伺う事ができる。2024/07/09