出版社内容情報
近衞版とはなにか? 日本のオーケストラ界、音楽界に多大な貢献をした、指揮者、作曲家・近衞秀麿の「音楽家」としての全貌。
日本のオーケストラ界、音楽界に多大な貢献をした指揮者、作曲家・近衞秀麿(1898-1973)。昨年の没後140年を機会に再評価されはじめた。これまでセンセーショナルな伝記的物語しか出ていなかったが、近衞版といわれる編集楽譜の解説を主に「音楽家」としての全貌を改めて把握しその軌跡と作品をまとめた。
第一章 日本におけるオーケストラ演奏会と新作管弦楽曲
一、N響創立以降:1927年~1934年
二、N響以外の職業オーケストラの創立と近代作品のレパートリー化:1935年~1945年 三、N響以外の職業オーケストラの創立と近・現代作品のレパートリー化:1946年~1959年
四、交響曲から現代管弦楽曲へ:1960年以降におけるオーケストラ
第二章 近衞秀麿の日本のオーケストラへの貢献
一、指揮者 近衞秀麿の誕生
二、欧米での輝かしい活動
三、日本における交響楽団の組織化と育成
四、近衞秀麿の音楽理念
第三章 「近衛版」とは何か―改編を検証する 藤田由之
一、ベートーヴェンの交響曲
二、シューマンの交響曲
三、ブラームスの交響曲
四、ショパンのピアノ協奏曲第二番
五、チャイコフスキーの《悲愴交響曲》
六、シベリウスの交響曲第二番
七、シューベルトの《弦楽五重奏(D九五六)による大交響曲》ハ長調
第四章 近衞秀麿による《越天楽》の管弦楽化
附録:年表/近衛秀麿が演奏した作品/演奏記録がない自作品/資料1 一
九二三年に近衞秀麿が初渡欧したときに聴いた演奏会/資料2 一九三〇年に近衞秀麿が渡欧したときに聴いた演奏会/資料3 著書目録/資料4 日本で初めてマーラーの管弦楽曲が演奏された時に使われた楽譜
【著者紹介】
音楽評論家。新聞のコンサート評ほか、『レコード芸術』『音楽の友』誌などで執筆。
内容説明
“親方”の通称で、日本のオーケストラ創成期に活躍した作曲家・指揮者の近衞秀麿が、2013年没後40年を迎えた。改めてクローズアップされる音楽家・近衞の才能と功績、そして彼が日本に遺した大切なものとは何か。
目次
第1章 日本におけるオーケストラとその作品(近衞秀麿のベートーヴェン観―一九二七年~一九三四年;作曲コンクールから生まれた邦人作品―一九三五年~一九四五年 ほか)
第2章 近衞秀麿の日本のオーケストラへの貢献(指揮者近衞秀麿の誕生―山田耕筰に入門;欧米の名門オーケストラを指揮―フルトヴェングラーら巨匠との交流 ほか)
第3章 「近衞版」とは何か―改編を検証する(ベートーヴェンの交響曲;シューマンの交響曲 ほか)
第4章 近衞秀麿による『越天楽』―欧米に紹介した日本の音楽(管弦楽編曲誕生の背景;秀麿編曲『越天楽』の成立過程 ほか)