出版社内容情報
ピアノの発展を支えてきた楽器製作者、作曲家、作品の関係を描く。自身が作曲家&ピアニストである著者による示唆に富むピアノ論。
『音楽の友』連載(2010年1月号~2012年3月号)に一部、加筆修正を施したもの。ピアノの誕生から現代まで、改良を重ねてきた楽器製作者たち、それとともに変化した作曲家(&演奏家)の楽器への要求、そして生み出されたピアノ作品の数々、新たな音の響きや演奏技術……。例えば、《熱情ソナタ》に見られる強弱の遊びや超高・低音域の使用は、ベートーヴェンがエラールという楽器に出会わなければ生まれなかったであろう。本書ではこうした、ピアノを取り巻く作曲家・楽器・作品のかかわりを描く。そして、著者はそれを「昔の物語」として終わらせない。「作曲家=ピアニスト」という図式が終了した今、私たちは新たなピアノの可能性を探る必要に迫られているのだ。自身が作曲家&ピアニストである野平一郎氏による、示唆に富んだピアノ進化論は、「クラシック音楽の未来」にも大きな課題を提示する。
1. 鍵盤楽器の栄枯盛衰
2. ピアノが産声を上げた瞬間
3. ジルバーマンとバッハのすれ違い
4. バッハ一家とピアノの関わり
5. ハイドンのピアノ・ソナタ、ウィーンとロンドンの二つの異なるピアノ
6. モーツァルトを取り巻くピアノの世界【前半生】
7. モーツァルトを取り巻くピアノの世界【後半生】
8. モーツァルトからベートーヴェンへ
9. ピアノへの新しい音響を追求したベートーヴェン
10. ベートーヴェンが手に入れた新しい楽器の存在
11. ベートーヴェン後期作品にみられる二つの特徴
12. ウィーン式アクションのジョセフ・ブロードマンのピアノ
13. ピアノを新たな段階へと進ませたシューベルトの存在
14. 移ろいやすく不安に揺れ動くロマン派の旋律
15. ピアノ・メーカーが力強いピアノを目指し始める
16. 最高度のテクノロジーを搭載したリストのピアノ
17. ハンブルクとウィーン 二つの時代
18. フランスの魅惑のピアニズム (1)
19. フランスの魅惑のピアニズム (2)
20. シェーンベルクの冒険
21. 東欧からの新しい動き
22. ロシアのさまざまなピアニズム
23. 楽器の新たな発展 (1)
24. 楽器の新たな発展 (2)
25. メシアンと戦後のフランス
26. 20 世紀後半のピアノ作家たち
27. 日本のピアノ作品
28. ピアノ進化論の最後に
あとがき
【著者紹介】
1953年生まれ。ピアニスト、作曲家。東京芸術大学教授、静岡音楽館AOI芸術監督。東京芸大、同大学院修了後、パリ国立高等音楽院に学ぶ。卒業後もIRCAMなどで電子音楽を学ぶ。ピアニストとしてソロや室内楽奏者として活躍、作曲家としても多くの委嘱作品がある。サントリー音楽賞(2004年)など受賞多数。楽譜『標準版・バッハ:インヴェンションとシンフォニア』(2014・音楽之友社)における充実した解説は好評を博している。
内容説明
ピアノが誕生して3世紀が経った今、私たちは、この楽器に何を託すのか?
目次
鍵盤楽器の栄枯盛衰
ピアノが産声を上げた瞬間
ジルバーマンとバッハのすれ違い
バッハ一家とピアノの関わり
ハイドンのピアノ・ソナタ、ウィーンとロンドンの二つの異なるピアノ
モーツァルトを取り巻くピアノの世界(前半生;後半生)
モーツァルトからベートーヴェンへ
ピアノの新しい音響を追究したベートーヴェン
ベートーヴェンが手に入れた新しい楽器の存在
ベートーヴェン後期作品にみられる二つの特徴〔ほか〕
著者等紹介
野平一郎[ノダイライチロウ]
1953年、東京生まれ。現在、東京芸術大学教授、静岡音楽館AOI芸術監督。作曲家、ピアニストとして活躍。東京芸術大学、同大学院修士課程を経て、パリ国立高等音楽院卒業。その後、イティネレールやIRCAMに於いて、電子音響音楽やコンピュータ音楽を学ぶ。ピアニストとしては、多くの現代作品を日本・世界初演。またソロ・室内楽奏者として古典から現代までの幅広いレパートリーを手がけ、作曲家としては、フランス文化庁やIRCAM、アンサンブル・アンテルコンタンポラン他からの多くの委嘱作品がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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