内容説明
ヴァイオリンの選択は、他の楽器と違ってたいへん難しい。またその奏法も複雑である。フレッシュの『ヴァイオリン演奏の技法』と、ファルガの『ヴァイオリンの名器』の拙訳が出版されて以来、私は、ヴァイオリン教師、ヴァイオリンを習っている子弟の父母、一般の音楽愛好家の皆さんから、楽器、奏法、演奏家等について、いろいろと質問を受けた。これらの質問の中から、一般的なもの、初歩的、基本的なものを選び出し、それに答えるつもりで書いたのがこの本である。
目次
魔のヴァイオリン、グァダニーニ
決闘で貴族を殺したガリアーノ
チェロもやはりストラディヴァリか
モーツァルトはヴァイオリンの名手だった
サラサーテは生ぬるい演奏をした
シューマンの自殺未遂は三角関係のもつれか
美男子と醜男の二重奏(プニャーニとヴィオッティ)
魔術師パガニーニ
フランスは恩知らずだ(クロイツェルとロード)
ベルギー派のヴァイオリニスト(シャルル・ド・ベリオ;アンリ・ヴュータン;ウジェヌ・イザイ)
ヨアヒムはよい教師と言えるか(ヨアヒムとアウアー)
名教師カール・フレッシュ
ベートーヴェンの協奏曲は男性的に弾け
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Galilei
4
百聞は一見にしかず。老舗の弦楽器工房へ修理のコントラバスを持ち込むと、200~300年を経た、いわゆる「オールド」が何台も並んでいた。古式騒然だが、くすんだ下の地肌は、見事なメイプルの縞が広がっている。△職人の親方は、「永年弾き込んで、音が瞬時に立ち上がる」 なるほど、音にはボヤケがなく、pではp、fではfに思い通り。基礎練習の自分でも納得。△修理の後本書を見つけた。製作の歴史を紐解くと、あの弦楽器工房の仕事には、引き出しが無数と感じた。本書にあるオールドの秘めた力量は、どれだけ演奏家にかかってるのか。