目次
分割と再統合
同質/異質のグラデーション
反復パターンと形式の関係
3部形式のエクセサイズ:閉じられた/開かれた小宇宙
「超越的」な楽曲は存在するか?
ソナタ形式の憂鬱
ソナタ形式のエクセサイズ1:謎また謎の前編
ソナタ形式のエクセサイズ2:「お気楽さ」の真相に迫る
楽曲の形式から見る西洋音楽史
ロマン派を省く理由
現代音楽の分析1:セリーとテクスチュア
現代音楽の分析2:密度と凝集度
新しい形式と記憶
現代音楽の分析2:悲劇とクラスター、あるいは擬音とテクスチュア
著者等紹介
沼野雄司[ヌマノユウジ]
1965年東京生。東京藝術大学大学院博士後期課程修了。博士(音楽学)。東京音楽大学助教授を経て、桐朋学園大学教授、および同大学附属図書館長。2007年から08年までハーヴァード大学客員研究員。20世紀音楽に関する著訳書、論文は多数におよぶ。国内学会での研究発表が多数あるほか、近年ではアメリカ、中国、オランダ、リトアニア、ジョージア(グルジア)などにおける国際学会での発表や招待講演も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テイネハイランド
12
図書館本。著者は桐朋学園大学教授。ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第25番第2楽章」などを元に、「ソナタ」形式など、クラシックの楽曲の分析を行っています。読む前に少し懸念していたことですが、やはり楽譜の見方がわからない私には、とても敷居が高い本で、途中で読むのを断念しました。私の場合、もっと初心者向きの本を読むべきだと反省しました。2017/11/06
Yasomi Mori
5
クラシック音楽を題材に、音楽の形式分析をする「原理」を解説する一冊。音楽のもつユニークな特徴として「反復」と時間性があり、この点が他の芸術表現と大きく異なる。中世→ルネサンス→バロック→古典→ロマン派→現代音楽と、時代の変遷とともに音楽の表現も変わってきたが、反復と対比(コントラスト)の観点から眺めることで、その特徴が明瞭になることが分かった。かつて多用されたフレーズの繰り返しは、演奏の現場鑑賞が前提とした曲を覚えてもらうための工夫であり、録音技術の発展によって不要になった、という話も面白い。2019/11/25
Y田
5
アナリーゼ本を多分初めて読破できた。嬉しい。(それでも時間はかかったけど。) そこまで細かい理論を持ち出さず音楽史や形式に関する情報を示しながらベートーヴェンから現代音楽まで、分割→再統合という方法論で一冊通して説明してくれて分かり易く、現代音楽の解説もしてくれてるのも良かった。自分の知識だとこれ以上詳しくされると読めない、、。楽章で構成される曲は現代のアルバムの感覚、という例えやソナタ形式と「サビ形式」等、現代に例えた説明、趣味のレベルの自分にも理解出来る内容だった。2019/03/31
trazom
5
教条的な楽理の本と違って、著者の少しおどけた書きぶりも楽しいし、その内容も目から鱗が出るような記述に溢れ、とてもワクワクして読んだ。<で書かれたクレシェンドとcresc.と書かれたものでは何が違うかの記述や、音楽理論は音楽史を必要とするかというアメリカの学会での論争の紹介など、とても興味深い。さらに、最も素晴らしいのは、ソナタ形式に関する考察。そこから派生して、なぜ第2主題が属調なのかという問いに対する解説は、きわめて説得力がある。音楽を「読む」ことが、こんなに楽しいかと感じる一冊である。 2017/11/07
あきくん
1
語り口がめちゃくちゃ面白い! それと分かりやすい!2021/04/06