内容説明
本書は「未完成」の楽譜資料と演奏を細部にわたって比較して、「楽譜」と「演奏」の関係を探っていく。また後半は前著『ベートーヴェンの「第9」』刊行後に登場したアバド=ベルリン・フィルの演奏とベーレンライター新全集版を検証して、「第9」研究を総括する。
目次
第1章 シューベルト「未完成」―各種クリティーク版と演奏を検証する
第2章 ベートーヴェン「第9」―ベーレンライター新原典版を検証する
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NyanNyanShinji
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本書は楽譜研究の鬼ネコケンさんのシリーズ。特に前半で取り上げられたシューベルトの『未完成交響曲』はその名の通り未完成に終わり、シューベルトの生前に印刷されたわけでもなく、演奏もされなかった。そのため楽譜の記載が曖昧だったり一貫性がなかったり。挙句にはこの曲が発見され出版される際には当時の大先生ヨハネス・ブラームスの監修の手が加わり、シューベルトがあえて入れた不協和音を綺麗に手直ししたそうだ。本書は淡々と楽譜の異動を比較が主で正直細かすぎて訳がわからないが,その中にフワッと浮き上がってくるドラマが堪らない。2024/08/16